No.85
窯の熱電対を交換して気付いた近代窯のデメリットという話
No.
85
:
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2023年09月30日(土)
#徒然なる日記 #どうでもいい思い付き #陶芸 #エルエルキルン
窯焚きをしていたら1200℃を超えた辺りで電源が落ちてしまい、何度も再点火を試みてどうにか1230℃までは上がるものの、それを超えると過剰加熱の表示が出て完全にダウンし1250℃まで届かず。翌日、再挑戦できるかとスイッチを入れたところFAILと表示されてスタート出来ず。
仕方がないのでエルエルキルンに問合せたところ、熱電対の寿命だと思うので1本引き抜いて(私の窯は3本使っている)確認してみて下さいとの事。コントロールボックスを開けて熱電対を引き抜いてみたところ、先端が熱で伸び切った上に炭化し完全に金属性を失っていた。日本の窯は保護管で固定されていて中の計測金属の寿命を見た事が無かったので、なるほど熱電対の最後はこうなるのかと結構驚いた。
(注釈 左が新品の熱電対、右が寿命を迎えた熱電対)
明らかに寿命なので新しい熱電対を3本注文することに。アメリカの窯はDIYが徹底しているので、個人でパーツ交換出来る仕様になっているのは非常に有難い。
安めなK型(現在使っているものと同等)と値段の高いS型があってS型の方が寿命が長いとの事で、どちらにするか迷ったが、窯を買ってから6年は使えたので交換後も6年は使えるだろうという判断と、6年後に炉体の寿命が来ていたら熱電対ごと買い替えになる可能性も考えられるため熱電対だけ高寿命でも仕方がないかもという判断からK型にすることに。
注文から2日後に新しい熱電対が届いたので、早速交換する。
エルエルキルンのオフィシャルYoutubeに交換の動画があるので、それを何度か見て覚え、必要な道具を用意する。用意すると言ってもプラスドライバと懐中電灯くらいだけど。
交換手順そのものは非常に簡単で、先日、熱電対を引き抜いた時に構造は理解していたので、30分もあれば3本交換終わるだろうと思ったのだが、結局2時間くらいかかる。というのも、交換は簡単なのだが錆がとにかく酷い。そのせいでネジが抜けないし、やっと抜いて熱電対を交換しても今度はネジ山が馬鹿になっていたりしてネジが閉まらない。耐熱ウールを噛ませたりして何とか対処し、通電してみたところFAILの表示も出なくなり点火も出来るようなので、一応は一安心。
ところで、粘土には物理水と化学水(結晶水)という2つの水分が含まれていて、物理水は成形のための加水分で100℃になると蒸発する(窯の温度計だとは250℃くらいまで出ている)。更に分子レベルで結合している化学水というのがあり、これは1000℃くらいまで出続けると言われている。どちらも水蒸気になって出ていくのだがヤカンで水を沸騰させて出てくる水蒸気とは比べもにならないほど高温というのが曲者で、これが窯の金属を腐食させる。ステンレスというのは錆びない金属と思われているが、高温水蒸気はステンレスでさえボロボロに腐食させる。エルエルキルンは金属部分に腐食しにくいステンレスを使っているが、それでも6年使うと加熱水蒸気と触れる箇所はボロボロになってしまう。
熱電対を交換しながら思ったのだが、電気にしろガスにしろ、近代窯というのは耐火煉瓦を固定するためや各種部品を接続するために割と金属を多用していて、耐火煉瓦よりも金属の劣化が窯の寿命に関わってくる。前に使っていた日本の窯はアングルに鉄を使っていたのでステンレス以上にボロボロで最後はステンレスの針金でグルグル巻きにして使っていたなと思いだした。扱いやすいぶん煉瓦だけを積んで作った古代窯よりも、その点は明らかにデメリットだな、と。
窯焚きをしていたら1200℃を超えた辺りで電源が落ちてしまい、何度も再点火を試みてどうにか1230℃までは上がるものの、それを超えると過剰加熱の表示が出て完全にダウンし1250℃まで届かず。翌日、再挑戦できるかとスイッチを入れたところFAILと表示されてスタート出来ず。
仕方がないのでエルエルキルンに問合せたところ、熱電対の寿命だと思うので1本引き抜いて(私の窯は3本使っている)確認してみて下さいとの事。コントロールボックスを開けて熱電対を引き抜いてみたところ、先端が熱で伸び切った上に炭化し完全に金属性を失っていた。日本の窯は保護管で固定されていて中の計測金属の寿命を見た事が無かったので、なるほど熱電対の最後はこうなるのかと結構驚いた。
(注釈 左が新品の熱電対、右が寿命を迎えた熱電対)
明らかに寿命なので新しい熱電対を3本注文することに。アメリカの窯はDIYが徹底しているので、個人でパーツ交換出来る仕様になっているのは非常に有難い。
安めなK型(現在使っているものと同等)と値段の高いS型があってS型の方が寿命が長いとの事で、どちらにするか迷ったが、窯を買ってから6年は使えたので交換後も6年は使えるだろうという判断と、6年後に炉体の寿命が来ていたら熱電対ごと買い替えになる可能性も考えられるため熱電対だけ高寿命でも仕方がないかもという判断からK型にすることに。
注文から2日後に新しい熱電対が届いたので、早速交換する。
エルエルキルンのオフィシャルYoutubeに交換の動画があるので、それを何度か見て覚え、必要な道具を用意する。用意すると言ってもプラスドライバと懐中電灯くらいだけど。
交換手順そのものは非常に簡単で、先日、熱電対を引き抜いた時に構造は理解していたので、30分もあれば3本交換終わるだろうと思ったのだが、結局2時間くらいかかる。というのも、交換は簡単なのだが錆がとにかく酷い。そのせいでネジが抜けないし、やっと抜いて熱電対を交換しても今度はネジ山が馬鹿になっていたりしてネジが閉まらない。耐熱ウールを噛ませたりして何とか対処し、通電してみたところFAILの表示も出なくなり点火も出来るようなので、一応は一安心。
ところで、粘土には物理水と化学水(結晶水)という2つの水分が含まれていて、物理水は成形のための加水分で100℃になると蒸発する(窯の温度計だとは250℃くらいまで出ている)。更に分子レベルで結合している化学水というのがあり、これは1000℃くらいまで出続けると言われている。どちらも水蒸気になって出ていくのだがヤカンで水を沸騰させて出てくる水蒸気とは比べもにならないほど高温というのが曲者で、これが窯の金属を腐食させる。ステンレスというのは錆びない金属と思われているが、高温水蒸気はステンレスでさえボロボロに腐食させる。エルエルキルンは金属部分に腐食しにくいステンレスを使っているが、それでも6年使うと加熱水蒸気と触れる箇所はボロボロになってしまう。
熱電対を交換しながら思ったのだが、電気にしろガスにしろ、近代窯というのは耐火煉瓦を固定するためや各種部品を接続するために割と金属を多用していて、耐火煉瓦よりも金属の劣化が窯の寿命に関わってくる。前に使っていた日本の窯はアングルに鉄を使っていたのでステンレス以上にボロボロで最後はステンレスの針金でグルグル巻きにして使っていたなと思いだした。扱いやすいぶん煉瓦だけを積んで作った古代窯よりも、その点は明らかにデメリットだな、と。