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2019年11月07日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

息を止めて線を引くとはどういう事か

No. 30 :
#徒然なる日記 #金継ぎ #陶磁器修理

たかが線、されど線。細い線の引き方がよく分からないという質問はたびたび来る。息が長く、しなやかで、流れるような細い線はそれはそれは見ているだけ気持ち良い。だが、そういう線を引く事は実に実に難しい。更に、その線を引くために何が必要かを説明することはもっと難しい。今日はそういう難しいことを出来るだけ分かりやすく説明するという話。

細い線を引く時には、ゆっくりと筆先を動かすというのは基本だが、実はゆっくり動くためには、その前段階が重要になる。
ゆっくりと動くためには、まず「力が抜けていなければならない」。別な言い方をすると「力んではいけない」という事になる。
では、力まないためには、その前段階としては何をすれば良いのだろうか。

線を引く時に大切なのは、腕や指先が思った方向に自由に動かせるかどうかだ。
達人はよく、丹田に力を入れてと言ったりするので、いきなり下腹部に力を入れる初心者がいるが、下腹部に力を入れるだけでは何もならない。むしろ動きにの邪魔にしかならない。丹田に力を入れるというのは分かりやすく表現すると、上半身の力みを無くして安定させるという事だ。上半身の力みを下半身に移動するというイメージでも良いかもしれない。しかし余程の武術やスポーツの達人でないと意図して力みを移動させることは難しい。そこで、別な方向から、力みの移動を考えてみよう。

端的に言ってしまうと、上半身の力みを取るというのは「肺の動きを最小限に抑える事」だ。
一番良いのは肺を動かさない事、つまり完全に息をしない事だが、流石に作業中ずっと呼吸を止めたら酸欠で倒れてしまうので、動いていないくらい小さな肺の動きの呼吸をする。それが工芸作業的な息を止めるという事ではないかと思う。
では実際、どのようにすれば良いかというと、大抵は酸欠で息が苦しくならないよう思いっきり空気を吸い込んで息を止めて肺の動きを抑えようと考えてしまうが、息を吸って大きくした肺は動きにとっては邪魔でしかない。しかも肺に空気が入って肩が上がると、力みが発生して集中力も動きも鈍くなる。
実は逆だ。まず大きく息を吐いて肺を出来るだけ小さくする(とは言っても、肺はゴム風船のように大きく形が可変するわけではないので、あくまでも大小についてはイメージなのだが)。すると自然と肩が下がって余計な力みが抜けてくる。余計な力みが抜けるなると血行も良くなって一瞬、集中力が増す。あぁ、集中力上がってきたわぁというのを感じたところで筆をゆっくりと下ろして線を引き始めるわけである。

息を吐くことから全てが始まらなければいけない。息を吐ききったところで線を引き始める。その後で丹田に力を入れからゆっくりと息をすると、通常の呼吸から、肩の上がらない(=肺の運動を最小限に抑えた)複式呼吸への移行が可能になるわけだ。これにより上半身は力みを抜いた状態で安定し、腕や指を自由に動かすことが出来るようになる。何度か練習は必要だと思うが、ある瞬間、自分が想像していたよりもずっと線が長く引けるようになった事を実感すると思う。
それが、息を止めて線を引いているという状態だ。

〔 1342文字 〕 編集

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