猫田に小判 -新館 -

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2023年9月の投稿6件]

2023年9月30日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#徒然なる日記 #どうでもいい思い付き #陶芸 #エルエルキルン

窯焚きをしていたら1200℃を超えた辺りで電源が落ちてしまい、何度も再点火を試みてどうにか1230℃までは上がるものの、それを超えると過剰加熱の表示が出て完全にダウンし1250℃まで届かず。翌日、再挑戦できるかとスイッチを入れたところFAILと表示されてスタート出来ず。
仕方がないのでエルエルキルンに問合せたところ、熱電対の寿命だと思うので1本引き抜いて(私の窯は3本使っている)確認してみて下さいとの事。コントロールボックスを開けて熱電対を引き抜いてみたところ、先端が熱で伸び切った上に炭化し完全に金属性を失っていた。日本の窯は保護管で固定されていて中の計測金属の寿命を見た事が無かったので、なるほど熱電対の最後はこうなるのかと結構驚いた。

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(注釈 左が新品の熱電対、右が寿命を迎えた熱電対)

明らかに寿命なので新しい熱電対を3本注文することに。アメリカの窯はDIYが徹底しているので、個人でパーツ交換出来る仕様になっているのは非常に有難い。

安めなK型(現在使っているものと同等)と値段の高いS型があってS型の方が寿命が長いとの事で、どちらにするか迷ったが、窯を買ってから6年は使えたので交換後も6年は使えるだろうという判断と、6年後に炉体の寿命が来ていたら熱電対ごと買い替えになる可能性も考えられるため熱電対だけ高寿命でも仕方がないかもという判断からK型にすることに。

注文から2日後に新しい熱電対が届いたので、早速交換する。
エルエルキルンのオフィシャルYoutubeに交換の動画があるので、それを何度か見て覚え、必要な道具を用意する。用意すると言ってもプラスドライバと懐中電灯くらいだけど。
交換手順そのものは非常に簡単で、先日、熱電対を引き抜いた時に構造は理解していたので、30分もあれば3本交換終わるだろうと思ったのだが、結局2時間くらいかかる。というのも、交換は簡単なのだが錆がとにかく酷い。そのせいでネジが抜けないし、やっと抜いて熱電対を交換しても今度はネジ山が馬鹿になっていたりしてネジが閉まらない。耐熱ウールを噛ませたりして何とか対処し、通電してみたところFAILの表示も出なくなり点火も出来るようなので、一応は一安心。

ところで、粘土には物理水と化学水(結晶水)という2つの水分が含まれていて、物理水は成形のための加水分で100℃になると蒸発する(窯の温度計だとは250℃くらいまで出ている)。更に分子レベルで結合している化学水というのがあり、これは1000℃くらいまで出続けると言われている。どちらも水蒸気になって出ていくのだがヤカンで水を沸騰させて出てくる水蒸気とは比べもにならないほど高温というのが曲者で、これが窯の金属を腐食させる。ステンレスというのは錆びない金属と思われているが、高温水蒸気はステンレスでさえボロボロに腐食させる。エルエルキルンは金属部分に腐食しにくいステンレスを使っているが、それでも6年使うと加熱水蒸気と触れる箇所はボロボロになってしまう。
熱電対を交換しながら思ったのだが、電気にしろガスにしろ、近代窯というのは耐火煉瓦を固定するためや各種部品を接続するために割と金属を多用していて、耐火煉瓦よりも金属の劣化が窯の寿命に関わってくる。前に使っていた日本の窯はアングルに鉄を使っていたのでステンレス以上にボロボロで最後はステンレスの針金でグルグル巻きにして使っていたなと思いだした。扱いやすいぶん煉瓦だけを積んで作った古代窯よりも、その点は明らかにデメリットだな、と。

〔 1530文字 〕 編集

2023年9月24日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#徒然なる日記 #陶芸

陶芸の講習会をやっていると、講習会で作った器は壊れないのに高い値段の器は壊れるんですよ、とか、自分のカップを洗っている時に落としたことないのに夫のカップは何故か落とすんですよ、という話を聞くことがある。

大抵は、おっちょこちょいエピソードとか笑い話のまま原因を聞かれることもなく話が流れてしまうので、きちんとその理由を話す機会は無いのだが、注意しているのに落としてしまう事で悩んでいる人のために、陶芸屋視点で理由を書いておこうと思う。

結論を言うと、器が手に馴染んでいないから。言い換えると、反復学習の不足が原因だ。

上記でいえば、来客用の器は、普段使いの器よりも手にする機会が少ない。夫のカップはお茶を出す時と洗う時に触るだけで、(例えば口元まで近づけるといった)それ以外の動かし方をしていない。つまり、器の形や厚み、重さのバランスなどについて手が覚える(正確には脳が無意識に記憶するわけだが)時間が圧倒的に短いのだ。
風呂場で髪を洗う時に目をつぶったとして、自宅であればシャンプーや水道の位置は大体予想出来るし、シャンプーの蓋を開けたりお湯を出すことも出来るが、旅行先の温泉の浴場で目をつぶったら、自宅の風呂と同じようにはいかない。それと同じで、普段使いの器や自分が愛用しているカップというのは、日々の反復経験によって器から様々な情報を収得し記憶している。逆に、来客用の器や夫のカップというのは普段遣いの器や自分用のカップに比べ、受け取っている情報量が圧倒的に少ない。

つまり、来客用の器や夫のカップというのは、根本的に落とすリスクが大きい器なのだ。
これは新しく買ってきた器を使う時にも当然発生するリスクだったりする。
食器に限らず、道具などを買う時に、手で持ってみてしっくりくると感じた経験を持つ人は少なくないと思うが、あれは、これまでの反復経験と合致する情報が多いということを意味する。
器というのは、よっぽど奇抜な作家の新作でもないかぎり大体は似たような形をしているので、これまでの経験と同じ使い方をすれば同様に扱えるだろうと勘違いしがちだが、実は、似た形であっても微妙に厚みや重さやバランスは異なるので、使いこなすには反復練習が絶対条件だったりする。

新しく買った器をすぐチップさせてしまう人、高い器を割りやすい人、夫のカップを落としやすい人は、手が器の情報を取得するまで、言い換えると器が手に馴染むまでには結構な時間が必要だということを忘れないようにしておくといいと思う。

〔 1093文字 〕 編集

2023年9月19日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

今更、消費税のことを知る。という話

No. 83 :
#徒然なる日記 #インボイス制度 #消費税

10月からインボイス制度が開始されるということで、そろそろインボイスに乗っかるか乗っからないかを決めて、ほん陶のホームページで意思表明しておかないといけないだろうなぁと思い、ネットでインボイス関連の内容を検索して読んだり動画を見たりしてきたのだが、いやぁ~消費税の仕組み、今更ながらに知りました。知らずに店を初めて仕事続けていたのかよって話ですけど、えぇ、その通りでして、消費税の基本を知らずにやっておりました。

消費税って、年収1000万円以上の事業者に納税の義務があるだけで、それ以外は関係ないので、当然、支払の義務ってのも無いのね。
じゃぁ商品やサービスの領収書に書いてある消費税って何なのよって事だけど、要するに、1000万以上の事業者が税金払って利益減ると困るから商品を値上げして何とか税金の払い分を賄うことにしましょうって時の値上げの口実として消費税って書いているだけなんだそうな。

そうなのかぁ~。年収1000万以上の事業者を潤わせるために、一般庶民はお金を出していただけなのかぁ。
完全に勘違いしてたな、自分。っていうか大体の人が勘違いしてないか?
もう少し言うと、勘違いさせるために書いているというか書かせるようにしてるよな、消費税の表示。あこぎな事するわぁ。

ちなみにインボイスの登録だけど、自分はまだしばらく登録しないことにした。
配送業者から修理の依頼はたまに来るけど、ほとんど対個人だし、インボイスだからって値上げするのも何か心苦しいしねぇ。
インボイス義務になったら、仕方がないから登録して修理代値上げするかもしれないけど、ギリギリまでそういうことはしたくないわね。

〔 741文字 〕 編集

2023年9月18日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#徒然なる日記 #陶芸

江戸時代の文献に、掻いた生漆は「くるみ油」と「濃く煎じた茶汁」の混合液の上に垂らすと漆が焼けないという記述があって(ここでの「漆が焼けない」という解釈が、漆が酸化して赤くならないという事なのか、それとも漆被れを起こさないという事なのかは考える必要はあるけれども)、くるみ油と茶汁の混合液には、どういう効果が有るのだろうと調べていて、ふと、そういえば大学や東京の陶芸教室で働いていた頃は、下絵具を茶汁で溶くのは割と通説的に、タンニン酸が弁柄を細かくするから絵具の伸びが良くなるとか言われていたけど、個人的には水で溶くのと違いが分からないまま、理由については深く考えもせずに放置していたけど、実際のところはどうなのかと思ってネットで検索してみたら、下絵具を茶汁で溶くという話そのものが全く出て来ない。
まあ、30年位前の常識だから徐々に薄まってきているという事は考えられるが、よもや、今は、茶汁で溶くという話すら検索出来ないほど消えてしまったらしい。と結構驚いた。

それと、ネットでの検索結果というのは、食に偏りが大きいという事もちょっとした発見ではあった。くるみ油も茶汁も、健康に云々という記事が山のように出てくるが、くるみ油の塗料としての内容や、茶汁で何かを溶くという話に関しては、本当にヒット数が少ない(と思う。私の調べ方が悪いのかもしれないが)。

〔 612文字 〕 編集

2023年9月8日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#徒然なる日記

長らく風呂で体を洗う時には固形石鹸を使っている。洗顔石鹸、ヘアシャンプー、リンス、ボディーソープといろいろ使うのが面倒になったので、固形石鹸1個で全部まかなう事にしている。髪はリンスとかコンディショナーを使わないとパサパサするだろうと言われるが、徐々に髪が固形石鹸に慣れて来るのか、よく洗い流せばバサバサしなくなるので、本当に風呂場には石鹸1個しかない。

最初は牛乳石鹸の青箱を使っていたが、結構、顔の肌がつっぱるので赤箱にした。しかし、しっとりはするがバラの香りが強くてどうも好きになれず。
ミヨシの無添加せっけん、シャボン玉無添加浴用せっけん、カウブランド(牛乳石鹸)無添加せっけんと変遷して、しばらくカウブランド無添加せっけんで落ち着いていたのだが、今年はとにかく暑くて汗をかくので、ちょっと香料の入っているやつのほうが良いかなと思い、カウブランド自然派石けんオリーブを買ってみた。
香りは良い。流すと香りが強く残らない感じも良いのだが、結構、顔の肌がつっぱる。自然派の保湿剤が入っているらしいので保湿はしているかもしれないが、なんかちょっと顔がピリピリする。なるほど、あくまで自然派であって無添加とは違うんだなぁ。
で、結局、牛乳石鹸の無添加石鹸が、自分の肌には一番合っているという結論に至る。無添加だから香料入れたら無添加じゃなくなるのだろうが、無添加石鹸で自然派せっけんの香料だけ入れたバージョンってのがあれば一番だと思うが。なかなか自分の好みの石鹸に出会うというのも難しいものだ。

〔 685文字 〕 編集

2023年9月5日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#徒然なる日記 #金継ぎ

マツコの知らない世界で金継ぎが取り上げられたというのでTVerで見つけて視聴してみた。
某ナカムラ出演と書かれていたので、これは間違いなく期待できないな、と思ったら案の定、金継ぎ無茶苦茶になっていた。

某ナカムラさんといえば、私の中では結構誤った内容(早い話が嘘)な雑過ぎるエポキシ金継ぎ本を出していて、海外にスピリチュアル金継ぎを広めた一旦を担いでいて、ラジオ番組で稲垣吾郎さんに食器には使わないでとメーカーが注意喚起しているエポキシ&新うるしを使った金継ぎが安全だと言い切った人、ということで、別に好きでも嫌いでもないが、少なくとも金継ぎを世間に誤解させまくっているという印象がある。話し方で他人を安心させる空気感を出す方なので、余計にたちが悪かったりする。

別に私は恨みつらみがあるとか、好き嫌いとか、そういうのは全くないわけだが、この人がやっている事は金継ぎのエッセンスだけを利用したアートであって、要するに金色が使ってあるアートなのだが、それを見せて、これが精神の高みに至る日本発祥の金継ぎであ~ると言いきっているのが困ったもんだな、という話なのだ。

どうも最近は漆を使い始めたみたいなのだが、テレビで紹介したものを見る限り、どう見ても技術は素人程度というか素人以下というか、線の引き方といい、研磨の中途半端さといい、金色の乗せ方といい、付け焼刃な感じしかしない。水研ぎのやり方を見ても、器に傷が付くことなど微塵も気にしていなさそうだし。つまり器を修理しているという気持ちがまるで無く、金色のアート作品を作っているだけなのだ。
で、金継ぎは素晴らしいでしょうって語るので、まぁ、「ん~…」としか言いようがない。

別に金継ぎは誰のものでもないので、どう解釈しようと、どういう使い方をしようと構わないっちゃ構わないわけだが、影響力がある立場なので自分に都合の良い箇所だけをピックアップした俺様金継ぎを発信する前に、もう少し、歴史とか、技術を守ってきた職人の方々への敬意みたいなものにも気を使ってほしいなぁと思ったりする次第。でも本に、金継ぎの極意は他人の金継ぎを気にしない事みたいな話を書いていたりするし、歴史とか職人の事も気にしないんだろうなぁ。

〔 970文字 〕 編集

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