猫田に小判 -新館 -

Last Modified: 2024/04/14(Sun) RSS Feed

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#陶磁器修理  #金継ぎ

うそぉ〜1月は投稿しなかったのかぁ。今、気が付きました。ネタはあったのに。
あけましておめでとうございます(今更)

ということで1月中に書くはずだったネタを投稿。

1月16日のYahooニュースに「国内で広まるライフハック 割れた陶器は、牛乳で煮ると元通りになる 本当に有効なのか調査してみた」という記事が出ていた。
ツイッターでは即日、引用リツイートで何の検証実験もせずに調査したとか書いて記事にしたらアカンでしょ、と書いたのだが、大切な事なのでこちらにも書いておこうと思う。

結論を言うと、磁器に牛乳という方法が無いわけではないが、元通りになるのではなく元通りに見えるだけで実用強度は出ない。あくまでも、捨てるのも何だし使えないけど飾ってインテリアとして楽しもうという西洋人の趣味で行われるものであって、日本の金継ぎのように、また食器として使うつもりでやっている事ではない。
更に実際に牛乳で煮る実験をした事がある私から言わせて頂くと、陶器では接着そのものが無理。一見付いたように感じるがすぐに取れる。しかも、牛乳を吸い込んで器が強還元焼成したように青く変色して戻らなくなるし処理後の乾燥が不十分だと匂いが取れなくなるので、絶対にオススメしない。というか、あえて言うなら、やっちゃダメ。なので手軽なDIYとして広めっちゃダメな案件。特に値段高めの和陶器はダメ。

私の記憶では、確かテレビでは「発掘!あるある大事典」で最初に紹介されたと思うが、その時は磁器のヒビを目立たないようにするといった内容で、割れた器が元通りになるとは言っていなかったと思う。その後、NHKの何かの番組でも見たが、それも実用については触れていなかったはず。
ちなみに検索したら私のブログでも2007,06,13でカゼインの接着についてちょっとだけ触れていた(どうにか接着に利用出来ないかなぁという話で、接着に使えるとは言ってない)。その前後にもカゼインプラスチックと接着への応用について書いた事があったように記憶しているが、検索に引っかからなかったのでブログ以外で書いたのかもしれない。

そもそも、調査してみたの割に検証も無く伝聞と推論だけでこういう記事を書くのは頂けないし、もう少し書くと「天然系接着剤は合成系に比べて耐水性が低い傾向がある」という一文も天然系接着剤の漆に失礼な話である。
米の研ぎ汁で煮ると器が焼き締まるという嘘話も未だに雑誌の特集で書かれていたり、陶磁器の間違った話はなかなか訂正されることなく広まってしまうのは陶磁器修理屋として本当に困った状況である。

<スクリーンショット↓>

ヤフーニュース

〔 1136文字 〕 編集

『 冬のガラス用漆ってどうなのよ 』

No. 1 :

#金継ぎ #ガラス用漆

3ヶ月ぶりにこんにちは。最初に書いておきますと、ガラス用漆その後の話です。

いい加減に冬も終わりというか、日中は夏日になってガリガリ君を食べたりしている4月。予報では今日の午後は30度になるそうで。ちなみに、現在は深夜2時ですが寒くてファンヒーター付けていたりする。6月だと、そういう日もあるけど4月じゃん、まだ。
まぁ、それはともかく、もう、真冬の状態にはならないと思うので、以前に、冬場のガラス用漆のリポート書くという約束を果たそうと思う。

話の前提として、私が仕事をしている場所を書いておく必要があるだろう。栃木のほぼほぼ中心。ここは内陸性気候に区分されている。11月を過ぎると日中の気温が10度以下、夜〜明け方は氷点下になり、水を入れて外に出したバケツには1cm前後の氷が張る。そんな感じの土地だ。しかも、それだけ寒いなら冷気が入らないしっかりした建物を作るべきだと思うが、残念ながら、当家は家の中でも吐く息が白いという状態。当然、仕事場もそういう環境だ。加えて、冬は湿度が30%まで下がる。しかも絶対に50%を超えない。いや、40%も超えるのを見ることすら稀だ。部屋が寒くなるということは、当然、気密性もあまり高くないわけで、常時、湿度30%位のところで生きている。
と、長々書いたが、要するに冬は漆作業に向かない環境だ。部屋に置いた漆は1ヶ月置いても全く硬化しない。だが、逆に、全く漆が硬化しない環境ゆえ、硬化条件を細かく調べることも出来ると言える。

そういうわけで、ガラス用漆の硬化条件はどの辺りなのか調べてみた。いよいよ本題へ入る。
結論を書くと、ガラス用漆が硬化する最低温度は18度、湿度48%だった。ただし、この条件だと硬化まで5日かかる。これよりも温度、湿度のどちらかが下がると全く硬化しなくなる。ちょっと数値が下がるのだから、時間を置けば硬化しそうなものだが、硬化しなくなる。なので、最低温湿度で漆を扱うのは非常に危ない。仕事として成立するのは、温度が20度、湿度が50%まで上げる必要があり、これだと3日で硬化する。
つまり、気温20度、湿度50%の状態を3日キープ出来る漆ムロがあれば、ガラス漆の金継ぎ仕事は出来ることになる。実際、それでやってるし、私。

それから、漆を硬化させるには、気温25度以上、湿度80%以上が必要というのは、必ず漆ハウツー本に書いてある呪文だ。しかし上に記載したように、そこまでの温度と湿度は必要ない。というか、ガラス漆の硬化を調べていて気付いたのだが、呪文は最も早く漆が硬化する条件であって、実は、仕事として考えると、漆は呪文よりも下の数値で硬化させた方が結果的に扱いやすい。というのも、最適化条件に近づくほど皺も出やすくなる、つまり作業がシビアになってくる。勿論、適切な塗り方であれば問題ないし、プロなら仕事をする時の温度と湿度を見て、厚みを調整して塗るのが当たり前だが、趣味で漆塗りをする人はそこまで経験値が上がらないことが多いし、加えて、大抵、厚く塗る。その時、最速硬化条件の温湿度(特に湿度が大切)だと皺が出てしまう。もっとゆるやかに硬化させた方が結果的に失敗しにくくなる。
温度が20〜25度、湿度が50〜80%の範囲であれば硬化するので、あとは、各自の塗り癖に従って調整したら良い。と突き放すと文句を言われそうなので、大体の目安として書くと、温度が25度。湿度が60%辺り、中1日置いて作業出来る程度で作業を進めていくと、間違って少し厚塗りをしてもそこそこ皺が出にくいので、非常に仕事しやすい(だから厚く塗っても良いという事ではないので、そこは取り違えないように)。

ってことで、冬の状態からのガラス用漆の扱いについて。でした。
また気になったことがあったら、追加していきたいと思いますので。

〔 1618文字 〕 編集

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