猫田に小判 -新館 -

Last Modified: 2024/04/14(Sun) RSS Feed

No.66

#金継ぎ #陶磁器修理 #どうでもいい思い付き

カゼイン漆の水没試験をしてみて分かったのは、カゼイン漆は固まるのが遅いという事だ。いや、固まるのが遅いというのは語弊がある。糊漆や接着用錆漆と同じタイミングで接着をすると2ヵ月経っても芯まで乾かず、水没試験で接着強度が落ちる。糊漆や接着用錆は2か月で耐水強度が出るのに。

最近は全く麦漆を使っていないが、そういえば麦漆も直ぐに接着すると芯まで乾かないことを思い出したので、タンパク質の入った漆は接着のタイミングが早すぎるとアカンのだなと気付いた。

そもそも硬化した漆というのは、どれくらい酸素を透過するのか?ポリエチレンなどは水を通さずとも空気は通す膜だが、漆の塗膜はどうなんだろう?何となくナイロンのように酸素を透過させなさそうな気がする。調べてみたが漆の塗膜の酸素透過率の話は全く見つからず。
例えば5mm厚の磁器を接着した場合、接着面は5㎜厚の塗膜みたいなものだ(左右から乾いていくから2.5mmの塗膜を表裏に塗ったと考える方が適切かもしれないが)。もし、平面に5mm厚で塗ったとしたら、間違いなく表層が乾いたら中は乾かない。もし漆の塗膜が酸素を透過させるとすれば、この状況でも酸化は行われて少しずつ硬くなるように思うが、そうはならないだろう。

麦漆は接着断面に塗った後、少し養生して酵素によるカテコールの結合が始まったのを確認してから張り合わせるわけなので、カゼイン漆もそういう張り合わせ方が必要なのかもしれない。
だが性質上、カゼイン漆は薄く塗り伸ばすのが難しいので、だとしたら、塗る前の漆とカゼインを混ぜる時点で、手動のクロメをする時のように出来るだけゆっくりと練り合わせ、カテコールを結合し始めてから接着断面に塗る方が良いのかもしれない。
いずれにせよ、混ざったのと、使える状態に混ぜたのは明確に違うということで、扱い方に注意が必要ということなんだろう。

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