No.16


#金継ぎ#ガラス用漆 #陶磁器修理

個人的に、錆漆と金蒔きの下地に使う赤漆(弁柄漆)は鮮度が大切だと思っている。実際、作り立てのものは扱いやすいので、当たらずとも遠からずだと思うが。
趣味で金継ぎをしている人でも、錆漆は都度作っていると思うが、赤漆はチューブを使う人が割と多いのではないかと思う。最後の金蒔き工程しか使わないのにいちいち漉すのが面倒とか、作ったけど固まってしまう事が多いとか、そういう感じじゃないかと推察する。更に、漆漉しでよく使う吉野和紙が案外入手しにくかったり値段が高めという事もあるかもしれない。

そこで、今回は、私がやっているコーヒーフィルターの漆漉しをご紹介。コーヒーフィルタで漆を漉しているというと、大体、冷たい目で見られるか、漆を何だと思っていると説教されるのだが、珈琲が綺麗に漉せるのだからコーヒーフィルタで漆を漉しても問題ないやろ?と思うし、実際、非常に滑らかな良い赤漆が作れる。やり方を詳しく書いたので実際にやってみて判断して頂きたい。
本当は動画のほうが分かりやすいと思うのだが、動画編集はよく分からないので写真と説明書きにいたします。(動画編集が得意な人は、自分で動画撮影と編集をやって公開して頂いて問題ありません。)

<コーヒーフィルタで漆を漉す>

使用するのはマツモトキヨシのコーヒーフィルターです。
マツキヨ限定ではないのですが、マツキヨのコーヒーフィルタは値段の割に紙質が良く、かなり丈夫なのでお勧めです。ちなみにマツキヨのフィルタは内側が毛羽立っていて外側がツルっとしている(普通は内側がツルっとしていて、外側が毛羽立っている)これが良い味を出すので、私はコーヒードリップのフィルターとしても常時使ってます。
あ、そうそう。マツキヨのコーヒーフィルターはカリタ102のサイズしかありません。もっと小さいのが欲しいとか大きいのが欲しいという方は、別なメーカーを探して下さい。


窯内

フィルターを切ります。使用するのは1枚だけなので、コーヒーフィルタ1つで2回分になります。1枚は保管しておきましょう。


窯内

毛羽立っている方を上(自分側)にして置きます。


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まず、フィルタを半分くらいから上下に折って。

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次に、大体3等分になるよう左右から折り曲げます。


窯内

こんな感じで折り目を付けておきます。


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サランラップの上に漆と弁柄を用意します。
私は金継ぎ作業は、ホームセンターで買ったタイルを長年愛用しているのでタイルの上にサランラップを乗せていますが、普通に机の上にサランラップ広げて頂ければ問題ありません。
なお、『サランラップ』と敢えて固有名を出しているのは、経験上、サランラップが最も強度が高く扱いやすいからです。クレラップや安いラップは薄手なので、この作業ではサランラップがお勧めです。
漆の分量は任意ですが、あまり少ないとフィルタに吸収されて無くなってしまうので、0.5g以上はあった方がよいと思います。
弁柄も基本的には任意ですが、私は漆の量の40%(重量比)を目安にしています。あまり多いと漆の伸びが悪くなるし、少ないと金粉の沈殿が大きい感じがするので。

窯内

漆と弁柄を混ぜる作業は、ホームセンターの木材売り場で買った細切りの竹を切って、紙やすりで先を研いで使っています。器の断面に接着用の漆を付けたり、欠損に錆漆を充填する時にも使える万能棒です。
1本買って切ると10本くらい取れますが、まだ2本しか使っていないので全部使い切れずに終わるような(笑)


窯内

弁柄のダマが大体見えなくなるまで混ぜます。後で漉すので多少プチプチ残っていても大丈夫ですが、フィルタに残る弁柄が多いと勿体ないので出来るだけ混ぜて下さい。
混ぜ終わったら、先ほどの折り目を付けたコーヒーフィルタを用意して。


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弁柄と混ぜた漆の上に、折り目の中心と合うようにして乗せます。この時、コーヒーフィルタの毛羽立っている方が漆側になります。逆にすると、漉す時に毛羽立った繊維が入る可能性があるので、これは間違えずに置くようにして下さい。


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この後、漆を漉しますので、もう一枚サランラップを敷いて頂き、その上で、サランラップごとコーヒーフィルターを折ります。折り目を付けてあるので、折り目に沿って折ればOKです。
軽く折る程度なら、漆は染みてきますが漏れる事はないので急がずゆっくり行って下さい。


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折り終わった状態がこれです。ケーキの生クリーム押し出すやつみたいな感じです。
一人で作業しながら写真を撮る関係上、洗濯ばさみで留めていますが(留めないと開いてしまうので)、普段作業する時は洗濯ばさみで留める必要はありません。


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そうしたら、コーヒーフィルタをヘラでゆっくり押して漆を漉します。
なお、漆漉しは兎に角ゆっくりのんびりが基本です。漆は粘性がありますし、コーヒーフィルターの紙の隙間は非常に小さいので最初はなかなか出てきませんが、ゆっくりと力を掛けながら押していると、そのうちジュワァ~っと出てきます。出てきてからもグイグイ押さず、漆が自然と出てくるのを待ちましょう。量によりますが、少量でも全部漉せるまで5分くらいはかかります。ヘラは漆を押し出すというよりも、逆戻りしないように抑えているという感じです。
漆は5分10分では乾かないので、滑らかな赤漆になるよう、ゆっくりと行って下さい。


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ヘラが先端までいったら、漉す作業は終了です。
それから重要なことですが、漉す作業は1回です。ヘラが先端まで行った後に勿体ないからと残っている漆を2度3度とヘラで押してしまうと、ダマの弁柄が出てしまう事があるので1番絞りで終わりにしてください。2番絞り3番絞りはありません。


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漆漉しが終わったら、漆が乾かないようにサランラップで包みます。


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私は、出来るだけサランラップ内に空気が残らないように100均で買ったシリコンゴムのヘラの薄い部分をを切って加工したやつで空気を押し出すようにしています。


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空気が押し出せたら、小さくまとめておきます。
きちんと空気を抜いてあれば、かなり長期間固まらずに保管できます。もちろん、早めに使い切る方が良いとは思いますが。
また、少量になったら新しい赤漆と混ぜて使うことが出来ますが、その時は漉し終わった漆と混ぜず、弁柄と混ぜ終わった赤漆と混ぜて再度コーヒーフィルタで漉して下さい。


余談になりますが、コーヒーフィルタ漉しをするまでには、キムワイプとかモノタロウのラボワイプとか、紙の眼鏡拭きとか、もちろん、ろ紙も使ったり、いろいろ試しましたけど、漆を漉すのは今のところマツキヨのコーヒーフィルターがベストなようです。もっと良い紙が見つかったら、またブログに書きます。

〔 2834文字 〕 編集

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