猫田に小判 -新館 -

Last Modified: 2022/04/20(Wed) RSS Feed

タグ「金継ぎ」を含む投稿[21件]

#金継ぎ #陶磁器修理 #徒然なる日記

以前に、漆芸では刻苧を作るのに木粉と漆と米糊(または小麦)を混ぜるけど、この刻苧は陶磁器と相性が悪い。それで刻苧は敬遠していたけれど、錆に刻苧綿を入れた刻苧錆みたいにしたら良いじゃないかと気付いて、陶磁器の金継ぎの刻苧は「粘土(+砥の粉)+漆+刻苧綿+水」なんだ、という事で落ち着いたという話をいたしました。
あれから、耐水性や強度などを調べて確かに使えるという事は分かったわけですが、ただ、収縮でのヒビは無いし、乾燥後の曲げ荷重に対しても強い事も間違いないんですけどカッターで削った時になんとなく脆い感じがする。そりゃ、漆が染みこんで硬くなっているとはいえ刻苧綿は細い植物の繊維ですからカッターを使えばサクッと切れるのは当然なんですけれども、そこがどうしても気になる。曲げ荷重には強くても、根本的な硬度が低下してしまう事に何か解決策は無いかというのが懸案事項として頭の隅に残っていたわけです。

プラスチックの分野ではガラスやカーボンの繊維に樹脂を浸み込ませ、更に積層させて強度を持たせたFRP(繊維強化プラスチック)というものがあります。漆芸でも麻布に漆を浸み込ませて木胎の器の強度を確保する方法があって、カップの取っ手の修理などに使う人もいるようですが、それだと木粉の刻苧と同じで陶磁器との相性は悪い。じゃぁやっぱりガラスの繊維で強度向上かとは考えましたが、ガラス繊維というやつは軽いので作業中に散れたり舞ったりするし、皮膚に付くとチクチクしてかなり辛い。それに、万が一、ガラス繊維を入れた刻苧を飲み込んだりしたら胃壁にガラス繊維が刺さったりする可能性も無くはないわけで、FRPの作業をやったことがあれば誰でも食器につかうのは躊躇すると思います。FRPのトレーはあっても食器が極端に少ないのは、そういう理由もあるんじゃないかと思うわけです。
それで、何か他に良い繊維はないものかとネット検索していたら「鉱物繊維」というものがあると分かりました。鉱物を1400℃で溶かしてから射出して繊維状に加工したものらしい、と。で、そんな凄いものならちょっと買ってみようかと調べたら、建材のガラスウールの代わりとして売ってはいるんですけど建材だから量が多い上に結構なお値段。刻苧に使えるかどうかを試験するために買うレベルじゃないわけで、でもまぁ、買えるなら買って試してみようかと安いところを調べていたら、なんと、建材ではなく植物の水耕栽培用に固めたやつを売っていると分かりまして、植物を育てるためのものなら人体に悪いものも入って無さそうな気がするし、しかも1000円程度で手が出しやすい。送料入れても買える値段だしポチっとしようかと思ったんですけど、いや待てよ、園芸用品ならホームセンターの園芸コーナーでも買えたりするのではないだろうかと気付き、近所のホームセンターに行ってみたら1個だけ残っていた。しかも4ブロック入って500円。これは金継ぎの神の導きであろうと即ゲットして帰ってきました。

販売元は大和プラスチック株式会社ですが、ロックウールは立方体に固めてビニルで巻いてありビニルに「日本ロックウール」と書かれているので、もしかしたら日本ロックウールというところで作っているのかもしれないと検索してみたら、ありました。日本ロックウール株式会社。しかも、ロックウールについて歴史や作成方法や安全性など非常に多岐に詳しく説明されている。

日本ロックウール株式会社 www.rockwool.co.jp/

ロックウールの原料となっている高炉スラグも調べてみたところ、鐵鋼スラグ協会というところが高炉スラグの有効利用についていろいろと研究、発信しているということも分かりました。

鐵鋼スラグ協会 www.slg.jp/index.html

刻苧綿の代わりを探していただけのはずが、気付けば壮大なSDGsの世界に踏み込んでいたという状態。こんな凄い原料がすでにメジャーなものとして活躍していたのか。まだまだ勉強不足だなと反省いたしました。
まぁ、SDGs云々については日本ロックウール株式会社や鐵鋼スラグ協会に任せるとして、私としては

・陶磁器の食器の刻苧として安全性は担保できるのか
・当面、安定継続的に入手可能か

という2点をクリア出来るかという事が重要で、ネット情報をいろいろと読む限り、結論としては完全OKであろうという見解に至っております。

で、実際に錆にロックウールを混ぜて刻苧を作ってみたところ、混ぜる時にジャリジャリはしますが、植物繊維の刻苧と乾く速さは変わらず。更に固めてからカッターで削ったり紙やすりをかけてみたら、かなり硬いんですが鉱物繊維が切削の邪魔になるという事はありませんでした。

削っていて気が付いたのですが、ロックウールは鉱物なのだから、錆に外割で添加するのではなく、
「木粉+小麦+水+漆」

「ロックウール+粘土+水+漆」
と置き換えて作れるんじゃないかと思い、やってみたら普通に作れました。
私が理想とする漆以外の有機物無しの無機物の食器用パテ。これじゃないのか、と。

あ、そうそう、ロックウールはアルカリ性のため酸性に触れると溶けるとか分解するという記事を見つけたので、粘土や水を入れず、ロックウールと生漆を混ぜてからムロに入れて固めてみたのですが、ちゃんと繊維は壊れず固めることができました。漆はPh4.5の弱酸性ですが、漆の弱酸性程度では何も変化しないようです。

現在は、実際の食器との密着性や耐水性、ロックウール+粘土+水+漆の比率はどの辺が良いのかという事について調べております。
ほぼ方向性が定まったら、noteの「案外 書かれない金継ぎの話 spinoff 」に整理して書きたいと思っています。もし、このブログを読んで自分もロックウールを使っているとかロックウール刻苧を試験しているという方がいらっしゃいましたら、noteの記事に突っ込み入れて頂けると助かります。よろしくお願いいたします。

〔 2527文字 〕 編集

note 案外 書かれない金継ぎの話 ひとまず完結

No. 46 :
#徒然なる日記 #金継ぎ #陶磁器修理 #告知

4月にnote ブログサービスで「案外 書かれない金継ぎの話 」という金継ぎだけのブログを書き始めたという話をして、途中経過で、どれくらいアクセスが来たか書きましたけど、一応、全31回、11月19日公開分で完結したのでご報告。

読み返すと、もう少し順番を考えてから書いた方が良かったと思ったり、出来るだけ簡潔に文字数を増やさない方向で書いたので結果的に説明が足りなくなったという箇所もあったりするわけですが、順番は無理でも、細かい修正は時間を見つけてちょこちょこやっていこうと思っています。

11月29日時点での全期間ビュー1位は、第1回メリットとデメリット で283ビュー。第一回を書いたのが4月末で約7か月ということで一番長く掲載しているし、第1回から読んでみようということでビューが多いのは理解できるとして、2位が何故か第24回漆に糊を入れる理由 で265ビュー。取り合えず、この2つがぶっちぎりで多いけれど、第24回はスパム攻撃とかバグとか、あまり真っ当に読まれて増えた数という感じではないと思っています。というのも3位以降は、ほぼ掲載期間に沿っての順位になっているから。ちなみに3位は第3回 漆とは何か で156ビュー、31位は第31回 破損の修理4~下地作り・金蒔き~ で70ビューです。
概ね1週間で60~80ビューになり、1週間以降は微増していくという感じ。
なお、同一IPアドレスでもページを開けばカウント上がる仕様らしく、当然、自分で読み直したり書き直してもカウントされてしまうので正確に何人が見たのかは分からないんですけど、自分以外は何度も読むことはないと思うので、差し引き10くらいすれば読んで頂けた人数に近似するのではないかと思っております。

noteは24時間で5~6回集計されてダッシュボードというページで集計結果が分かるようになっているわけですが、記のようにユニーク数でのビューも分からないし、人力で数えて手打ちで入れてるの?と思うくらい更新時間がまちまちな上に集計から更新までに3~4時間くらいズレがあると思われる(更新時間の1時間前に何度もアクセスしたのに全く数値の変化が無い)ので、リアルタイムの変化を細かく分析したい人には向いてないサービスでしょうね。私はお金かけずに記事を残せればいいという目的で始めたので、べつにその辺はいい加減でも構わないんですけども。

という事で、以上、金継ぎブログの報告でした。

なお本当は、研磨が出来ない総金彩の器の修理とか、細い取っ手の修理とか、素焼き素地や軟質陶器の修理みたいな特殊なケースも書こうかと思っていましたが、かなりマニアックな修理話だし需要無さそうなので書きませんでした。けれど、来年になったら何かしら続きを書こうかなぁという気持ちもあるので、年末年始でどうするか考えようと思っています。

〔 1244文字 〕 編集

刻苧について悔い改めたという話

No. 43 :
#金継ぎ #陶磁器修理 #徒然なる日記

結論はタイトル通りで、刻苧さんごめんなさいという事で終了なんですけども、一応、悔い改めた理由を書いておこうと思います。

私、これまで漆とか金継ぎ関係の事については、ほぼほぼ書籍を買って読むということでやってきたわけですが、noteで金継ぎ専科の話を書くようになり改めてネット検索したりYoutubeを見たりして見分を深めるというよりは体系的に金継ぎ界隈ってどうなっているんだろうかと見直すようになりまして。なるほど、アメリカではエポキシに代用金を混ぜて貼り合わせるだけのキットを金継ぎセットとして販売しているのか、とか、日本でも金継ぎ体験で得た間違った解釈の理屈書いてあるなぁとか、勿論、ちゃんとした内容の金継ぎの説明サイトも増えているんだなぁとか、いろいろと勉強になっておりまして。

そんな中、今まで刻苧というのはずっと木粉と漆と続飯(または盤石糊)を混ぜたものだと思っていて、その組み合わせで作ったものは、大体が5年以内に反って変形したり、取れたりしていて、やはり植物主体は陶磁器とは相性悪いんだよなぁと思っていたわけですが、改めて刻苧を調べてみたら、まぁ刻苧の種類の多いこと多いこと。木粉じゃなくて砥の粉や地の粉を使った刻苧というのもあったりするわけです。
となると、刻苧の定義って一体、何なのかと。それで考えていて、あぁなるほど、そういう事かと気付いたのは、要するに錆漆はペイント剤、刻苧はモデリング剤という分類なんだろうな、と。当たり前といえば当たり前なんだけども。金継ぎでは案外、ペイント剤も積層させてモデリング剤として成立しちゃっているから、何となく曖昧な関係になっている状態だけども。

では、ペイント剤とモデリング剤の大きな違いは何なのかというと、繋ぎの有無。漆芸だと繋ぎは刻苧綿という事になるわけですが、要するに繊維質。これに尽きる。繋ぎが入っていれば、極端な話、そのほかの材料はどうでも良かったりするわけです。何故、繋ぎの有無が大切かというと、粉体は厚みが出ると収縮に伴ってヒビがいくから、それを防止するために繋ぎを入れる。つまり、本来はヒビがいく程度の厚みを想定しているものが刻苧なわけです。

それで、No.41のブログで書いた「粘土入れてもいいんじゃないか」案件に合致して、非常に納得がいったわけです。というのも、粘土を入れると厚みが出た時に大抵はヒビがいく。陶芸をやった人は乾燥時にヒビが入った経験は必ずあるものですが、錆も粘土単品だから当然といえば当然。普通はそれを防止するために陶芸界では珪石やシャモットを入れて調整杯土にするわけです。陶芸は加えるのが水分のみなので、かなりの厚みがあっても1か月置けば100%乾きますが、金継ぎの場合、漆を混ぜることが絶対条件。そして、珪石やシャモットを入れると何故か漆の乾きが鈍化したり、厚いものは乾かなくなったりする。粘土と砥の粉、あるいは、粘土と陶石の組み合わせ以外は多分に無理があるわけです。でも厚いとヒビがでる。このジレンマをどうしたらいいのかと思っていて、そこで刻苧綿。あぁそうか、刻苧綿を入れるとヒビがいかないのか、と。それで試しに粘土6と陶石4に刻苧綿を入れて4㎜でやってみたところ、全くヒビがいかない。しかも2日で乾く。インドやアフリカの調理用薪窯を作る時、窯にする粘土にスサを入れてヒビ割れ防止にしていたな。とか、いろいろな事が頭の中で一気に結びついて、金継ぎは、粘土と刻苧綿で刻苧作ればOKだったんだと妙に納得すると同時に、刻苧さん、今まで甘く見ていて本当に失礼いたしました、となったわけです。

人間、やはり勉強で脳をアップデートしていく事って大切ですわな。という話。

〔 1570文字 〕 編集

中国の陶磁器修理の話

No. 42 :
#金継ぎ #陶磁器修理

Youtubeで漆関連の動画を見まくっていて、そういえば陶芸も日本の動画を見まくっていたら、世界の陶芸の動画が出てきたから、そのうち世界の漆の動画も出てくるのかなぁと思ったら中国の金継ぎの動画が出てくるようになった(アメリカとヨーロッパの修復の動画はかなり前に見まくったので出てこない模様)。

違う内容の動画を見ると出なくなってしまうので、関連で出ているうちに見ておこうと見始めたら、結構たくさんある。同じ人が別な番組で特集されていたりするので、実際にやっている人が多いというわけではなさそうなんだけど、動画の本数としてはかなりある。多分、50本くらいは見たかな。

で、大きく分けると3つあって、1つはアメリカやヨーロッパと同じ完全修復の動画。まぁこれは専門職で凄いよな、と感心するしかないわけで、どう頑張っても私がマネできるレベルではないんだけども、面白いのは、中国は欧米と違ってスプレー使わず筆だけでニス塗までやっていて、おぉ何か中国っぽいと思ったりした。

もう一つは、鎹止め。日本では重要文化財になっている馬蝗絆という名前の青磁茶碗が有名で、絵では直しているのを見たことがあるけれど、私は「初恋のきた道」という映画で初めて動画を見て、映画も面白いんだけどむしろ鎹止めの技法がちゃんと最初から最後まで見られた事に感動したという思い出。その後、骨董屋で鎹止めの器を見つけて、完全に水漏れしない状態できっちり継いであって、いやぁ凄ぇな鎹止めと思ったんだけども、まさか、今も職人としてやっている人がいるとは。てっきり映画の中だけかと思ってたら、かなり詳しく解説していたりして、あぁなるほどそうやるのかと。ちなみに水が漏れないのは、どうやら隙間を石膏で埋めているからで、鎹だけで水が漏れないわけではないっぽい。中国語だけど、石灰という単語と、焼という単語があったので、おそらく焼石膏の話をしているんだろうなと。漢字が読める文化圏にいてよかったよ。インドの陶芸の動画とか、何が書いてあるか全く分からんかったからね。
最近では、ただ鎹で止めるだけじゃなく、台湾だと装飾アートとして芸術賞もらったり教授になったりというウェーブもあったりするみたいだけど、個人的には、ちょっと趣味じゃないかなぁ。あんまりゴテゴテしているのはねぇ。

で、最後に金継ぎの動画なんだけども、へぇ~日本と同じ方法なんだと思って見ていたら、解説の文章に「日本がどうたら」と出てきたり、漆を濾す紙に「吉野和紙」ってインサート入ったりして、なんだ日本の金継ぎを自国に持ち帰ってやってるだけなのかと、結構、興冷め。
しかも、どこで習ったのか分からないけども、かなり無茶苦茶なのもあったりして。中でもおぃおぃと思ったのは、接着用の漆を塗る前に卵白を断面に塗って乾かすという手順があるやつ。誰が教えたんだよ断面に卵白塗るって。漆に卵白入れるならまだしも(いや、それも継ぐ技術としては要らんと思うが)、何で断面に塗るんだよ、理由が分からん。卵白がプライマーになるという話も聞いたことないし。個人的には、断面に漆を塗るのも違うと思っているんだが。断面に塗るのは、たぶん、木工の木地固めの名残りだと思うが、陶磁器は漆より硬いぞ。低温の素焼きならまだしも、高温で本焼きした器に地固めしても強くならんと思うのだけどもね。ハウツー関連だと素地に漆が染みないようにするためとか、しっかり漆が食いつくようにとか、いろいろ理由は書いてあったりするけども、どれも恐らくは生地固めに対しての後付けで説得力に欠けると思う。分子間力とアンカー効果を優先するなら、断面には接着用漆を直に密着させるべきじゃないのかなぁ。あと、漆を断面に塗って焼くやつ。あれも漆の高温重合は金属で使う技術で、陶磁器ではやっても別に接着強度上がるわけじゃないんだよなぁ。と思うわけだが、やっぱり中国でもやっている人も居ました。まぁ、自己責任だから良いんだけども。

そういうわけで、修復と鎹止めは面白かったけれども、金継ぎはアカンかったなぁという話。金継ぎの技術というのは、日本独自なのか日本にしか残っていないものなのかもしれないねぇ。

〔 1748文字 〕 編集

#金継ぎ #陶磁器修理 #どうでもいい思い付き

分からん。はっきり言って、やればやるほど分からないわけだが、その中から何となく分かってきたことがある。
まだ固まっていないので、取り合えず忘れないうちに書き散らしておこうと思う。読みにくいと思います。すみません。

始まりは、このツイート で書いた疑問。そして試しにやってみた、これ
要するに、錆漆というのは珪藻土(放散虫という単細胞生物の骨格が堆積したもの)とか珪石(マグマが冷えて固まったもの)が多い鉱物を漆で練ったものなわけだが、なぜそこへ至ったのか、途中にもっといろいろ混ぜていないのか。だって、硬そうなものはいろいろあるし、珪石よりも粘土の方が先に目に付かない?粉体にするのも粘土の方が楽だし、周りにたくさん土器とか陶器があったでしょうに、いきなり磁器原料には行かないでしょ。という素朴な疑問。これは私が陶芸をやっているからなのかもしれないけど、粘土と漆を混ぜたという記述は全く見つからない。
それで、手近にあった益子土と信楽白土と信楽赤土を混ぜてみたところ、これが結構どれも良い。

益子土も信楽土も調整杯土なので、じゃぁ、無調整というか原材料でもやってみようと思い、化粧土や釉薬原料で手近にあった木節粘土、蛙目粘土、朝鮮カオリン、天草陶石を混ぜてみたら、これもちゃんと錆っぽくなる。朝鮮カオリンはハロイサイトで可塑性が無いので、金継ぎに使えそうな感じの錆とはちょっと違うのだが、カオリナイトの木節粘土や蛙目粘土は、むちゃくちゃ可塑性しっかりしているし肌理も細かいし、なんか悪くないよなぁと。天草陶石は準粘土というかセリサイトが粘土っぽい可塑性は生むので、これも水分を調整してやると錆になる。そもそも天草陶石って陶芸に使う前は砥石として使ってたくらいだから(今でも天草砥石、たまにホームセンターで見るけど)、砥の粉ではあるわけで、ジャンルとしては砥の粉なんだろうな。

そういうわけで、実は、調べたら、砥の粉と言っても販売しているメーカーによってかなり成分がいろいろ。しかも、結構、粘土寄りな砥の粉もあったりして、全部が全部、珪藻土や珪石主体ということでもないと分かり。なるほど、ハウツー本で、水を入れてやっとまとまる程度に練りますと書いてあるのは粘土成分多めだから少量の水でまとまるのかと、改めて気付いたりして。それはさておき、素性がよく分からないものもある砥の粉よりも、出来るだけ主原料で、可塑性を生かせて硬くなる比率を考えてみようかとプレパラートに塗ってテストピースを作り始めたのだが、ある時、ふと気付いたたことがある。
粘土は、水が多くても少なくても乾いたら同じくらい硬くなる。ロクロを挽いた後の泥水を乾燥させると、器の内側についた粘土はカッチカチで剥がれなくなる。粘土は練った時の水分量に関わらず乾燥すると同じ硬さになるじゃないか。だとすると、本堅地で水分を使うと錆の硬度が落ちるというのは本当なのか?
それで、今まで出来るだけ水分はギリギリの量が良いと思い込まされていたけども、粘土使うとしたら、その法則は成り立たないのではないか?と思ったわけだ。
とすると、これは単にテストピース作るだけじゃなくて、厚みも変えて試してみた方がいいのかもしれない、と。

そんな感じで、厚みも変えながらいろいろ作ってみたら、厚みが0.5㎜以下だと、空気中の水蒸気で水分がまかなえるからなのか水の多少に関係なく錆は固まる。1㎜を超えると水分が少ないほど固まらないが1週間くらいあればまず固まる。2㎜を超えると混合した水分比が硬化に滅茶苦茶関わってきて、固まらいものは固まらないと分かる。そして、案の定、水分量に関わらず乾けばちゃんと硬い。

ちなみに、2㎜で粘土の錆漆を固めるには、粘土:水:漆は2:1:1。つまり乾燥させた粘土の重量の半分は水分が必要になってくる。
通常、作陶で粘土を練る時の水分量は約30%が適量。可塑性を出すのに使う水分量として粘土の半分の水は多すぎる。だとしたら、残りの水は何故必要なのか?暫く何も閃かなかったのだが、もしかしたら漆に関わる水分量なのかもしれないと気付く。理由は使っている漆が素黒目だから。数%は水分が残っているけれど、もし水分が無いと仮定すると、この水を足した時に生漆の水分比率に近似することになる。あぁ~っ!そうかぁ~。漆の樹木にとって、樹液を固めるために必要なのは外気であって、湿度では無いんだと。樹液は最初から固まるのに必要なH2Oを保有していたんだなぁと。考えてみれば当たり前の話。それが自然のバランスというものだよ、と。

ということで、何となく分かってきた。

そして今、陶磁器専用の接着錆漆は、砥の粉に粘土を混ぜて粘りを調節したら良いんじゃないか、というところまで来ている。

粘土だけでも十分に接着出来るし、可塑性で考えたら粘土だけの方が粘着性が高いのだが、粘土単体だと縮みが大きくヒビがいくのだ。調整杯土には乾燥時にヒビが出ないよう珪石粉末が大抵入っている。ちなみに珪石入れてみたのだが、確かにヒビは出にくくなるんだが、粒がデカい。ジャリジャリし過ぎる。じゃぁ珪石の代わりに天草陶石か砥の粉だなという感じなのだが、天草陶石を使うと何故か同じ比率で作っても固まったり固まらなかったりするんだよなぁ。
たぶん、練りの問題だと思うんだが。粘土はカオリンの結晶に水分が入り込むと、急に練りが重たくなって可塑性が増すのでタイミングが分かりやすいけれど、天草陶石はセリサイトで疑似的に粘りが出るので、そこが非常に分かりにくい。しかも比率を変えると更に練の時間が分かりにくくなる。ということで、砥の粉使うかなぁと思っているわけだ。

とりあえずは、そんな感じでやっていますが、まだまだ暗中模索。

〔 2428文字 〕 編集

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