猫田に小判 -新館 -

Last Modified: 2020/02/08(Sat) RSS Feed

2019年の投稿(時系列順)[21件]

2019年02月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する


#陶磁器修理 #金継ぎ

うそぉ〜1月は投稿しなかったのかぁ。今、気が付きました。ネタはあったのに。
あけましておめでとうございます(今更)

ということで1月中に書くはずだったネタを投稿。

1月16日のYahooニュースに「国内で広まるライフハック 割れた陶器は、牛乳で煮ると元通りになる 本当に有効なのか調査してみた」という記事が出ていた。
ツイッターでは即日、引用リツイートで何の検証実験もせずに調査したとか書いて記事にしたらアカンでしょ、と書いたのだが、大切な事なのでこちらにも書いておこうと思う。

結論を言うと、磁器に牛乳という方法が無いわけではないが、元通りになるのではなく元通りに見えるだけで実用強度は出ない。あくまでも、捨てるのも何だし使えないけど飾ってインテリアとして楽しもうという西洋人の趣味で行われるものであって、日本の金継ぎのように、また食器として使うつもりでやっている事ではない。
更に実際に牛乳で煮る実験をした事がある私から言わせて頂くと、陶器では接着そのものが無理。一見付いたように感じるがすぐに取れる。しかも、牛乳を吸い込んで器が強還元焼成したように青く変色して戻らなくなるし処理後の乾燥が不十分だと匂いが取れなくなるので、絶対にオススメしない。というか、あえて言うなら、やっちゃダメ。なので手軽なDIYとして広めっちゃダメな案件。特に値段高めの和陶器はダメ。

私の記憶では、確かテレビでは「発掘!あるある大事典」で最初に紹介されたと思うが、その時は磁器のヒビを目立たないようにするといった内容で、割れた器が元通りになるとは言っていなかったと思う。その後、NHKの何かの番組でも見たが、それも実用については触れていなかったはず。
ちなみに検索したら私のブログでも2007,06,13でカゼインの接着についてちょっとだけ触れていた(どうにか接着に利用出来ないかなぁという話で、接着に使えるとは言ってない)。その前後にもカゼインプラスチックと接着への応用について書いた事があったように記憶しているが、検索に引っかからなかったのでブログ以外で書いたのかもしれない。

そもそも、調査してみたの割に検証も無く伝聞と推論だけでこういう記事を書くのは頂けないし、もう少し書くと「天然系接着剤は合成系に比べて耐水性が低い傾向がある」という一文も天然系接着剤の漆に失礼な話である。
米の研ぎ汁で煮ると器が焼き締まるという嘘話も未だに雑誌の特集で書かれていたり、陶磁器の間違った話はなかなか訂正されることなく広まってしまうのは陶磁器修理屋として本当に困った状況である。

<スクリーンショット↓>

ヤフーニュース

〔 1136文字 〕 編集

このサイト、ディープウェブにつき

No. 13 :

#徒然なる日記

このブログ、検索で引っかからないですよ。と言われ、マジっすかと思ってGoogleでキーワード入れてみたら本当に出なかった(笑)
意図せずしてディープウェブになっていた猫田に小判新館。
ま、いいんだけども。

〔 129文字 〕 編集

2019年03月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

漆の小分けにシリンジを使うという案

No. 14 :

#金継ぎ #ガラス用漆 #シリンジ #どうでもいい思い付き

前回このブログが実はディープウェブになっていると判明しましたが気にしませんよ。辿り着く人だけが見られればいい。という事で、今回はネットを検索した限りでは誰もやっていない漆の小分けの話。

仕事柄、ほぼ毎日漆を練ったり塗ったりしているが、そもそも金継ぎで使用する量というのはたかが知れている。たかが知れているけれども、それでも漆は樹木の貴重な樹液、つまり献血の血液みたいなものだから出来ることなら1滴たりとも無駄にはしたくない。それ故に、接着用の漆や錆漆の最適混合比というのをブログ( nekotani.lix.jp/diary/index.php?page=18 )に掲載して、出来るだけ必要量を的確に作れるよう思案しているわけである。
だが、チューブの漆は、ちょっと押す加減を間違えると多めに出てしまったりする。しかも、金属製のチューブの場合、出し過ぎを戻すのは結構な難度である。漆がラミネートチューブで売っていれば多少は戻したり、また、最後の1滴まで出し切る事が可能だと思うが、私が知る限りにおいてラミネートチューブの漆は見たことがない。
それから、大きいチューブを買ってそのまま使っていると、どんなにエタノールで綺麗にしながら使ってもチューブの口に少しずつ漆が固着してきて蓋が開きにくくなるし、そもそも都度、エタノールで拭くのも漆が勿体無いので、私の場合はネットで小さめの金属製の空チューブを購入して、漆は小分けにして使っているのだが、空のチューブは意外と高かったり、届いてみたら潰れていて規定量が入らなかったりと案外面倒。

そうした諸々の問題を何とか打開出来ないものかと常々考えていたのだが、ある日ふと思いついた。シリンジ(注射器の筒)で漆を管理すれば、規定量を出すのも、出し過ぎを戻す事も容易ではないか。というわけで、早速、シリンジを購入。実際にシリンジで漆を管理出来るのか試してみた。
で、結論から言うと、シリンジで漆を小分けにする作戦はかなりオススメ出来る。むしろ金継ぎ用の漆はシリンジで売って欲しいと思うほど。空チューブよりシリンジの方が安いし、空チューブのように使い捨てではなく使い回しが出来るし、最高。

ただし!1点だけ難関がある。それは漆をチューブからシリンジに移す事。漆は粘度が高く、細いシリンジに入れたり密閉するのに一苦労。そこで出来るだけ簡単にチューブの漆をシリンジに移せる方法が無いものかと考え、やっと良い方法を見つけたので公開させて頂く。写真を見れば大体、やり方は分かると思うので簡単な説明と注意点だけ付けておく。


シリンジ

用意するのは、テルモのシリンジ。テルモじゃないとダメですか?という疑問があると思うが、テルモでお願いします。実は最初に近所のホームセンターで押出棒にゴムの無いシリンジを買ったのですが、まぁ押出し難いし引っ張れないし扱いにくいことこの上ない。ですので是非とも押出がゴムのテルモのシリンジでお願いいたします。ちなみに私はAmazonで試しに2.5ml(10本で400円)を買いましたけど、ちょっと小さすぎました。でも金継ぎをする頻度でも変わるので、あまりやらない人は2.5mlで十分かも。


シリコン

それから、ダイソーで売っている熱湯で柔らかくするシリコン粘土。樹脂加工が趣味の人は知っていると思いますけど、いわゆる型取り用シリコン。これで漆が漏れないようにチューブとシリンジを繋ぎます。それと、シリンジ用の蓋を作ります。




では、始めましょう。まず、漆のチューブの口に、空のシリンジの先を突っ込みます。チューブが下、シリンジが上です。逆にするといきなり漆が出ますから絶対にこの配置で。




次に、温めて柔らかくなったシリコン粘土でチューブとシリンジが抜けないよう密着させて塞ぎます。ここで隙間があると、当然、漆が漏れてきて大惨事になるのでしっかりと密着させて下さい。ちなみに、セロテープなどで止める事も出来ますが、テープは後で外すのが大変なので私はシリコンをオススメ。シリコンだと冷えて固まれば簡単に外せます。


蓋

シリコンが冷えて少し硬くなってきたら、チューブが上、シリンジが下になるようにしてから、ゆっくりとシリンジの棒を引っ張って漆をシリンジに吸い込ませます。
ひっくり返さずシリンジが上のまま吸えるかと思いましたが、上手く吸えなかったので、ひっくり返した方が良いと思います。

適量を入れたら、チューブが下、シリンジが上になるように戻し、ゆっくりとシリコンからシリンジを引き抜き、シリンジの口をエタノールで綺麗に拭きます。シリンジの口は細く、棒を押さない限り漆が出てくることはないので焦らずゆっくり作業して下さい。


蓋

最後に、温めて柔らかくしたシリコン粘土を口元に押し付け蓋にして終了。蓋にするシリコンは多めに使う方が密閉性が高く、また、取り外しも楽です。

あ、チューブのシリコン粘土も取り除いてチューブの蓋を閉めるのをお忘れなく。
ちなみに、チューブとシリンジを繋ぐのに使ったシリコンのアタッチメントは、同じチューブとシリンジであれば何度も使いまわしできますので保管しておきましょう。

<追記>
シリンジ漆の使い方が分からない方がいらっしゃると困るので。
シリンジに入れた漆を使用する時は、シリンジを上に向けてから軽く棒を引き、それから少しずつ棒を押して口元の空気を抜き。最後に下を向けて適量を出します。いきなり押すと漆が飛び出る事がありますので注意して下さい。

〔 2326文字 〕 編集

エルエルキルン経過報告

No. 15 :

#陶芸 #窯 #エルエルキルン

久しぶりにLLキルンのホームページ見ようと思ったら、知らない間にリニューアルしていて「エルエルキルン」になっていた。(以前はLLキルンと書いたが、以降はエルエルキルンにいたします)
購入について書いたのが2016年8月( nekotani.lix.jp/diary/index.php?page=11 )、経過報告で熱漏れ対策について書いたのが2017年8月( nekotani.lix.jp/diary/index.php?page=7 )、2018年に書くのを忘れていたので2019年の報告を書こうかな、と思うのだが、実は大して変化がない(笑) 言い換えれば、驚くほど丈夫。今年に入って窯の上の方の釉薬の溶けが、また若干悪くなってきたので、取り敢えず蓋にカオウール(高耐熱ウール)を貼り付け直した程度で、昇温も時間通り、電気消費量が増えたという事も全く無く。何より凄いのは、コイル状の電熱線が買ったときの形状を維持している事。しかも結晶化が進んでも弾力が残っている。昔使っていた窯は、購入2年を過ぎると熱線は変形するし、線を止めるピンは抜けるし、ピンを打ち直したりしてやっと落ち着いたかと思ったら焼成中に断線して全交換。しかも窯の下を懐中電灯で覗きながら手を伸ばして繋ぎ直すとか半泣きで修理したりして、メンテナンスが楽ですとか大嘘じゃねーかよ、みたいにキレていたわけで、それを思えば、こんなに丈夫でほんと良いんですか?って思ってしまうわけだ。
まぁ、愚痴はこれくらいにして、2017年の時は写真を乗せていなかったので、今回は写真撮りました。購入から3年弱でこんな状態。実に綺麗なもんです。


窯内

ジョイント部分に見える白いモサモサは、2017年に熱漏れ対策で噛ませたカオウール。今の所、外には全く熱漏れしていません。


窯内

電熱線は結晶化で白くなっていますが、ピンセットで挟んで引っ張ってもビヨンビヨンと弾性をキープしています。素焼きで作品爆発させてしまった時などは、掃除のために電熱線を引っ張り出して溝に溜まった破片や粉を掃除機で吸い取って元に戻します。ピンが無いので非常に楽。


窯内

蓋の耐熱紐(デフォルトで接着されている)の周りに、熱漏れ対策でカオウールを貼り付けているの図。


窯内

貼り付けたカオウールの近接写真。取っ手の付け根の溶接箇所は窯から出る水蒸気の影響で錆が出てますが、取っ手が取れてしまう程の劣化は起こっていないと思います。本当はサビをヤスリで落として車用の耐熱スプレー吹くと良いんでしょうが、なかなか時間が無くて出来ません。今年はメンテナンスしようかな。


→ 『エルエルキルン電気窯のサイト( hotkilns.jp/ )』

〔 1161文字 〕 編集

2019年04月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する


#金継ぎ#ガラス用漆 #陶磁器修理

個人的に、錆漆と金蒔きの下地に使う赤漆(弁柄漆)は鮮度が大切だと思っている。実際、作り立てのものは扱いやすいので、当たらずとも遠からずだと思うが。
趣味で金継ぎをしている人でも、錆漆は都度作っていると思うが、赤漆はチューブを使う人が割と多いのではないかと思う。最後の金蒔き工程しか使わないのにいちいち漉すのが面倒とか、作ったけど固まってしまう事が多いとか、そういう感じじゃないかと推察する。更に、漆漉しでよく使う吉野和紙が案外入手しにくかったり値段が高めという事もあるかもしれない。

そこで、今回は、私がやっているコーヒーフィルターの漆漉しをご紹介。コーヒーフィルタで漆を漉しているというと、大体、冷たい目で見られるか、漆を何だと思っていると説教されるのだが、珈琲が綺麗に漉せるのだからコーヒーフィルタで漆を漉しても問題ないやろ?と思うし、実際、非常に滑らかな良い赤漆が作れる。やり方を詳しく書いたので実際にやってみて判断して頂きたい。
本当は動画のほうが分かりやすいと思うのだが、動画編集はよく分からないので写真と説明書きにいたします。(動画編集が得意な人は、自分で動画撮影と編集をやって公開して頂いて問題ありません。)

<コーヒーフィルタで漆を漉す>

使用するのはマツモトキヨシのコーヒーフィルターです。
マツキヨ限定ではないのですが、マツキヨのコーヒーフィルタは値段の割に紙質が良く、かなり丈夫なのでお勧めです。ちなみにマツキヨのフィルタは内側が毛羽立っていて外側がツルっとしている(普通は内側がツルっとしていて、外側が毛羽立っている)これが良い味を出すので、私はコーヒードリップのフィルターとしても常時使ってます。
あ、そうそう。マツキヨのコーヒーフィルターはカリタ102のサイズしかありません。もっと小さいのが欲しいとか大きいのが欲しいという方は、別なメーカーを探して下さい。


窯内

フィルターを切ります。使用するのは1枚だけなので、コーヒーフィルタ1つで2回分になります。1枚は保管しておきましょう。


窯内

毛羽立っている方を上(自分側)にして置きます。


窯内

まず、フィルタを半分くらいから上下に折って。

窯内
窯内

次に、大体3等分になるよう左右から折り曲げます。


窯内

こんな感じで折り目を付けておきます。


窯内

サランラップの上に漆と弁柄を用意します。
私は金継ぎ作業は、ホームセンターで買ったタイルを長年愛用しているのでタイルの上にサランラップを乗せていますが、普通に机の上にサランラップ広げて頂ければ問題ありません。
なお、『サランラップ』と敢えて固有名を出しているのは、経験上、サランラップが最も強度が高く扱いやすいからです。クレラップや安いラップは薄手なので、この作業ではサランラップがお勧めです。
漆の分量は任意ですが、あまり少ないとフィルタに吸収されて無くなってしまうので、0.5g以上はあった方がよいと思います。
弁柄も基本的には任意ですが、私は漆の量の40%(重量比)を目安にしています。あまり多いと漆の伸びが悪くなるし、少ないと金粉の沈殿が大きい感じがするので。

窯内

漆と弁柄を混ぜる作業は、ホームセンターの木材売り場で買った細切りの竹を切って、紙やすりで先を研いで使っています。器の断面に接着用の漆を付けたり、欠損に錆漆を充填する時にも使える万能棒です。
1本買って切ると10本くらい取れますが、まだ2本しか使っていないので全部使い切れずに終わるような(笑)


窯内

弁柄のダマが大体見えなくなるまで混ぜます。後で漉すので多少プチプチ残っていても大丈夫ですが、フィルタに残る弁柄が多いと勿体ないので出来るだけ混ぜて下さい。
混ぜ終わったら、先ほどの折り目を付けたコーヒーフィルタを用意して。


窯内

弁柄と混ぜた漆の上に、折り目の中心と合うようにして乗せます。この時、コーヒーフィルタの毛羽立っている方が漆側になります。逆にすると、漉す時に毛羽立った繊維が入る可能性があるので、これは間違えずに置くようにして下さい。


窯内

この後、漆を漉しますので、もう一枚サランラップを敷いて頂き、その上で、サランラップごとコーヒーフィルターを折ります。折り目を付けてあるので、折り目に沿って折ればOKです。
軽く折る程度なら、漆は染みてきますが漏れる事はないので急がずゆっくり行って下さい。


窯内

折り終わった状態がこれです。ケーキの生クリーム押し出すやつみたいな感じです。
一人で作業しながら写真を撮る関係上、洗濯ばさみで留めていますが(留めないと開いてしまうので)、普段作業する時は洗濯ばさみで留める必要はありません。


窯内

そうしたら、コーヒーフィルタをヘラでゆっくり押して漆を漉します。
なお、漆漉しは兎に角ゆっくりのんびりが基本です。漆は粘性がありますし、コーヒーフィルターの紙の隙間は非常に小さいので最初はなかなか出てきませんが、ゆっくりと力を掛けながら押していると、そのうちジュワァ~っと出てきます。出てきてからもグイグイ押さず、漆が自然と出てくるのを待ちましょう。量によりますが、少量でも全部漉せるまで5分くらいはかかります。ヘラは漆を押し出すというよりも、逆戻りしないように抑えているという感じです。
漆は5分10分では乾かないので、滑らかな赤漆になるよう、ゆっくりと行って下さい。


窯内
窯内

ヘラが先端までいったら、漉す作業は終了です。
それから重要なことですが、漉す作業は1回です。ヘラが先端まで行った後に勿体ないからと残っている漆を2度3度とヘラで押してしまうと、ダマの弁柄が出てしまう事があるので1番絞りで終わりにしてください。2番絞り3番絞りはありません。


窯内

漆漉しが終わったら、漆が乾かないようにサランラップで包みます。


窯内

私は、出来るだけサランラップ内に空気が残らないように100均で買ったシリコンゴムのヘラの薄い部分をを切って加工したやつで空気を押し出すようにしています。


窯内

空気が押し出せたら、小さくまとめておきます。
きちんと空気を抜いてあれば、かなり長期間固まらずに保管できます。もちろん、早めに使い切る方が良いとは思いますが。
また、少量になったら新しい赤漆と混ぜて使うことが出来ますが、その時は漉し終わった漆と混ぜず、弁柄と混ぜ終わった赤漆と混ぜて再度コーヒーフィルタで漉して下さい。


余談になりますが、コーヒーフィルタ漉しをするまでには、キムワイプとかモノタロウのラボワイプとか、紙の眼鏡拭きとか、もちろん、ろ紙も使ったり、いろいろ試しましたけど、漆を漉すのは今のところマツキヨのコーヒーフィルターがベストなようです。もっと良い紙が見つかったら、またブログに書きます。

〔 2834文字 〕 編集

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