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活路
漆は史上最強の接着剤と言われている(らしい)。理由を列記すると次ぎのようになる。
1、非常に強い接着力を持っている。
2、硬化後は人体に安全な物質(極端な話、食っても問題ない)になる。
3、接着箇所は90〜100度の煮沸で外すことが出来る。
3の理由を不思議に思う方もいると思うので、ちょっと解説をすると、未来永劫確実に接着力が持続する場合以外、接着箇所は必ず劣化するので再修理が必要になってくる。この時、不要な接着剤を出来る限り除去してから新しい接着剤を使用しないと、接着剤本来の強度が得られない。よって、接着剤というのは強力な接着力と同時に、簡単に除去できるという相反する条件を併せ持っている必要があるわけだ。陶磁器を漆で修理した場合、再修理の時には10〜30分ほど煮てやると、接着箇所は簡単に外すことが出来る。(逆に言うと、それを知らずに漆製品を煮沸消毒したりすると、すぐに漆が剥げてしまうってことになるわけだが。)
インターネットや本では、このように良いことづくめな書かれ方をしている漆だが、実際に漆で修理をするのはかなり厄介だ。かぶれる、磁器や厚めの陶器の接着に使うと内部硬化まで一ヶ月以上かかる、硬化させるには温度と湿度に一定の条件が必要(実際には常温放置でも硬化時間がものすごく延びるだけで硬化はするけど)などがある。かぶれの問題は扱う人間の手際や経験数でカバーできるし、硬化条件は適当な物(タッパーや段ボール箱と電気あんか)を代用して安価に設定出来るが、硬化時間だけは(焼き付けを除いて)どう頑張っても短くできない。接着剤の硬化時間はその後の接着期間に比例するので長い方がいいという話もあるが、現代の化学接着剤と比べた場合、私は必ずしもその理屈は通らないと思っている。また、日常使いの陶磁器修理というのは、何度も手軽に直しながら使っていくことこそ重要ではないかと思う。例えれば、死ぬまで喧嘩をしない夫婦はすばらしいが、何度も喧嘩をしながら死ぬまで一緒にいる夫婦もすばらしい、という理屈に等しい。そのためには「誰もが手軽に直して使うノウハウ」というのが必要で、手軽であることの重要事項の一つに硬化時間の短さは必要だと思っている。
というわけで、この修理の仕事を始めると決めたときから、私はずっと漆相当(接着持続は若干短くても構わないとして)の接着剤というものを探してきた。歯科技工士が使うレジン(合成樹脂)が有力だったのだが、値段がバカ高いのと紫外線硬化のため機材が必要なので断念。他のレジンも調べたが、安くても人体安全が保証されていなかったり、扱いが面倒だったりと、なかなか上手くいかない。そもそも世の中にある接着剤というのは工業用薬品なので人体安全基準というのはあまり気にしないらしい。
そんな時、東亞合成株式会社が「アロンアルファA三共」という医療用の瞬間接着剤を作っているという記事を発見。早速、薬局へ行って聞いてみたところ(16件まわってアロンアルファA三共を知っている薬局は1件だけ)、医薬品なので医師の処方箋がないと購入できないという話。人体ではなく陶磁器接着に使うだけだと言ったのだが、やはり購入不可ってことで、仕方が無いので直談判で東亞合成株式会社にメールを出してみた。
で、本日、その返事が来た。アロンアルファA三共は、人体安全な接着剤だが、あくまでも医薬品なので陶磁器の接着は保証できません。でも市販のアロンアルファで食器の接着は可能です。ってことだった。えぇー!「食器」の接着できるのか、アロンアルファ。そこで、再度、問い合わせたところ、アロンアルファは食品衛生法・厚生省告示第20号(食品、添加物等の規格に関する基準)条件をクリアーした製品なので食器の接着にも問題なく使えるんだそうな。いやぁ驚いた。まさに幸せの青い鳥。
ってことは、接着力が強く、硬化時間が短く、人体に安全。しかもアロンアルファ(シアノアセレート接着剤)はアセトンで簡単に除去できたりする。言うことナシじゃん。というわけで、私が理想とする修理に、本日、また一歩近づいた。明日からホームセンターで全種類のアロンアルファを買ってきて研究実験しようと思う。
#追伸
アロンアルファAの販売元、三共(株)の方へも電話で問い合わせてみた。かなり詳細なことまで詳しく教えていただき、大変勉強になった。内容を要約すると、アロンアルファAは市販のアロンアルファとほとんど同じものだが、刺激性や硬化時の反応熱を抑えるために硬化時間が長くなるように設定されている、また、医薬品のため、流通や保管管理の際にかなり厳しい制約があるので基本的には医師が使用する、または医師が付き添いで使用する確約がとれない場合は販売許可が降りないのだそうだ。
#追伸2
アロンアルファの化学式のページがあったので、とりあえず紹介。


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| 徒然なる日記 | 12:49 AM | comments (x) | trackback (65) |
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