接着剤としてのガラス用漆について1

また1ヶ月以上、更新を止めてしまった…。毎度のことだけど。
あまり更新しないのも気が引けてきたので、今回は、かなり短めだが更新目的ということで。
ガラス用漆は陶磁器の金継ぎで使うととにかく低温低湿でもよく乾く(正確には硬化する)。プレパラート上できちんと比較したらMRの約倍の速さで乾く。
最近は、温度が20度前後、湿度は40%まで下がるようになったのだが、それでも筆塗りで3時間。錆漆にしても20時間以内で概ね乾く。低温低湿で乾くことで有名なMR漆よりも更に早い。LTHやNOA漆と同程度。
なぜ、こんなにも早いのか。MR漆のように、酵素量を減らさないよう特殊な精製をしているとか、そういう話も無さそうだし。
全く理由が分からずにいたのだが、ふと、風呂に入っている最中に閃いた。
ガラス用漆は、漆の乾きが早いのではなく、添加している薬剤が固まる(ガラスに反応する)速度が早いのではないか、と。事実、ガラスの上に塗ったものと、漆の上に塗ったものでは、ガラスの上の方が乾きが早い。
それに気付いたら、途端に頭の中でガラス用漆の金継ぎの扱い方が組み上がってきた。
要するに、ガラス用漆はシリカと反応する環境下において絶大な効力を発揮する。逆に言えばシリカが無ければ普通の漆と同じ(あるいは添加物が含まれる分、普通の漆以下)ということになる。ガラス用漆にデンプンやグルテンを加えても耐熱水性が全く向上しないのはそのためだと考えれば納得出来る話だ。
だとしたら、接着のためにシリカを入れればガラス用漆本来の実力を引き出せるかもしれない。麦漆や糊漆に代わるガラス用漆で作る接着剤には、たぶん、シリカの添加がポイントになってくるはず。
そこで、2つの候補を考えた。
一つは、シリカの添加で最も有名なアエロジールというガラスの微粉末。合成樹脂の増粘剤や、食品の凝固添加物としても使われていて、私も樹脂をパテ状にする際に必ず用いている。ゲルのアロンアルファが無い時は、普通のアロンアルファとアエロジールを混ぜて簡易的にゲル状アロンアルファを作ることもできる。そういう高純度のシリカだ。間違いなくガラス用漆の効果に加担するはず。
もう一つは、砥の粉。これはご存知、錆漆を作るときに必ず使う鉱物粒で、前にも記載したと思うが陶石(白磁器を作るときに使う主原料)の代わりにもなる、成分のほとんどはシリカ。硅石の方が良いが、陶芸をやっていて釉薬を自作する人でないと買わない原料だし、陶芸の珪石は粒が荒い。準硅石の砥の粉でも十分だと思うわけで、何より、追加で新しい材料を買い足さなくても良いので、金継ぎをやる人には砥の粉の方が好都合だ。
そいうわけで、現在、この2つの候補を使って実験中(というか、実験のための硬化待ち)。
もし、これが上手くいけば、金継ぎとしては革命的とまでは言わないが、そこそこの進歩にはなるように思う。
結果は、いずれ。お楽しみに。

3件のコメント

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    初めまして。
    いつも漆情報を参考にさせて頂いております。
    貴重な情報を有難うございます。
    僭越ながら、私もガラス用漆について考察をしてみました。
    私は、ガラス用漆の添加剤をシランカップリング剤と予想しています。
    ガラス用漆の硬化が早くなる原因は、添加剤(シランカップリング剤)の加水分解による添加剤同士の結合ではないかと思われます。
    おそらくは、シリカを加えても硬化速度に変わりなく、もしかしたら水を加えたほうが硬化が早くなるかもしれません。
    しかし、硬化と言っても、漆の硬化ではなさそうなところが少し気がかりです。
    アエロジールは、シリカとシランカップリング剤を結合させたものです。
    シランカップリング剤を橋渡しにし、有機物とシリカを結合させることで、単純に重くなりますので、粘性がアップする仕組みだと思われます。
    単純化して考えれば
     普通漆+アロエジール ≒ ガラス用漆+砥粉
    のようになるかと思います。
    私も、こちらでガラス用漆の存在を知ってから、シランカップリング剤を試しています。
    漆に練りこまなくても、接合面への塗布だけで十分だろうと考えて、実験をしている最中です。
    漆と結合が可能な有機官能基がどれか、まだよくわかりませんので、少し遠い道のりです。
    シランカップリング剤については、下記サイトで詳細に解説されていますので、ご参考までに。
    http://www.dowcorning.co.jp/ja_JP/content/japan/japanproducts/Z003_silane_coupling_agents.pdf

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    いろいろな情報を頂きありがとうございます。
    ガラス用漆については、私も以前のブログ「金継ぎのリーサルウェポンになるか?( http://nekotani.lix.jp/diary/index.php?e=393 )で記載していますが、ご指摘の通り、おそらくシランカップリング剤が入っており、それにより硬化が早いのではないかと考えています。
    また、シリカ類を添加することの有用性ですが、私の場合は硬化の速度を上げる目的よりも、麦漆や糊漆の代替として(というか、代替ではなく、それに置き換わるメインの粘着剤として)、漆の初期粘着力の向上を目的に考えています。
    というのも、漆:水:砥粉=2:1.5:6で混合した錆漆の積層は、金継ぎでは現状、おそらく最も耐熱水性が高いパテだと思うのですが、麦漆や糊漆は、ガラス用漆で作っても耐熱水性が上がらないため、通常の漆を使うのと大差ありません。
    ガラス用漆単味で代替することも、磁器の場合は可能ですが、陶器まで含めると漆の素地への浸透により粘着力が低下することは避けられないので、それを回避するために、何らかの物を添加することが必要になるのではないかと予想しており、それを打開することが出来れば、日常使用を目的とした金継ぎのメリットとして大きいのではないかと考えています。
    それと、アエロジールにシランカップリング剤が添加されているというのは知らなかったので、購入元に問合せてみたところ、私が購入しているものは純シリカでシランカップリング剤は入っていないそうです。メーカーにより、いろいろあるみたいですね。
    シランカップリング剤を練りこまずに使うことについては、特

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    文字数オーバーで切れてました。ごめんなさい。
    シランカップリング剤を練りこまずに使うことについては、特に漆芸全般に対して有用な研究だと思います。特に、ガラスの金継ぎ修理の需要は(現状の金継ぎ修理では強度が著しく低いので、私はやっていませんが)間違いなくあると思いますので、良い結果が出ることを期待しています。
    どうぞ頑張って下さい。

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