金継ぎのリーサルウェポンになるか?

タイトルに仰々しい単語を入れてみたが、べつに漆を使って、被れちゃうぞ爆弾を作るとかそういう話ではないので、勘違いしないように(笑)。まぁ、漆の被れは遅効性なので、そういう用途が無理なのは明白なんだけども。
冗談はさておき、漆は平滑面、特にガラスに対しての密着性は著しく低いという話は何度かしていると思う。
よって、ガラスと同じ成分(というか、ガラスその物)の陶磁器の施釉面や、磨き上げて表面が平滑に近似している朱泥や紫泥の急須などの表面に金継ぎをすると剥離しやすいということも話したと思う。
ところが少し前、ネットで接着についての調べ物をしている時に、たまたまガラス用漆というのを見つけてしまった。もう少し正確に経緯を言うと、ガラス面に漆を接着するための特許のページを見つけ、そこから、ポイントになりそうな単語を検索して行き着いたのが、「株式会社 箕輪漆行」のガラス用漆だ。(直リンして良いのかどうか分からないが、まぁ、Googleでも直リンしているので問題ないと思う。→ http://urushiya.ocnk.net/product-list/86
説明によれば、下処理なしでガラス面に直接塗り、3週間以上硬化させると、数ヶ月水に浸けても剥がれない塗面が出来るとのこと。値段的に通常の漆の4〜5倍するので躊躇はしたが、思い切って買ってみた(中国産の方。日本産はさすがに無理)。
まだ購入してから1ヶ月しか経っていないので、数ヶ月の浸水は本当なのかという検証まではいっていないのだが、とりあえず、使用感は通常の漆と同様。粘度も色も変わらない。ただし、ちょっと意外だったのは、硬化が気温25度前後、湿度50〜60%でも普通の塗りなら24時間で確実に硬化するのでMR漆と良い勝負。つまり、ムロを使わずに硬化が出来る。ちなみに、錆漆にした場合、プレパラートに1mm厚で付けると1日。5mm厚でも4日程で裏側から見ても黒くなったので、ほぼ硬化したと考えて良いと思う。この早さはちょっと予想外だった。とはいえ、今は夏の初めで被着物そのものが蓄熱するのでMRと大差無いとも考えられるわけで、冬場は良い勝負をするかどうかは不明だ。(冬については、また、冬になったらお知らせします)
ちなみに、陶磁器の主成分はシリカ、つまりガラスと同材なので、案外、塗るだけではなく接着でも強度を発揮する可能性は高い。
ただ、おそらく、ガラス用漆は(サイトに説明は無いが)値段から察するにMR漆のように特殊な方法で精製したというものではなく、ガラスとの親和性のためにシラン剤を入れている可能性が高い。シラン剤は陶磁器やコンクリートの水漏れ止めとして販売している液体で、陶芸では水漏れ止め薬剤「液体セラミック」が有名。現在のところ、ガラスに最も密着するのはシラン剤と言われている。なので、もしシラン剤を使っているとしたら、あえて粳米や小麦などを使わずに接着をする方法を取るのが最も効果的ということになるだろう。その場合、浸透系素地だったらどうするか、初期保持力の確保はどうするか、などの課題は多い。
また、コストとの兼ね合いを考えると、1から10まで全部ガラス用漆でやるというのは流石に無理があるので(趣味で挑戦したい方は全部やってみて教えてもらえると嬉しいです)、どの程度の厚みで、どの程度まで強い接着力が得られるのかを考えて、適材適所で用いる必要があるように思う。その際、果たして、他の漆との密着はどうなのかなども試験する必要はありそうだ。
さらに、この漆、果たしていつまで作っているのかという最大の問題もある。
いずれにせよ、まだ購入後間も無いので、情報が不足している。追って、いろいろと分かってきたら書こうと思っているが、もし「今頃、ガラス用漆とか言ってんのかよ。俺なんて昔から金継ぎに使ってるぜ」という方がいらしたら、ちょっとコメント頂けると非常に嬉しい。
よろしくお願いします。