コミノテの話


コミノテは、私が気に入って、ちょこちょこ通っていたカフェだ。
本日、コミノテは5年間の営業を経て閉店となる。うーん、かなり切ない。
コミノテの意味は、オフィシャルページによると
「コミノテ(正しいスペルは kominote)とは、ハイチの言葉でコミュニティを意味します。
本来の『CAFE』としての機能は勿論のこと、共通の趣味や目的、同じような感性を持っている人達が意識を共有する為に集う場として、自発的じゃない 組織的なコミュニティ、カルチャーをこの場所から皆様と共に作っていきたいと考えています。」
だそうである。
大きな店ではないので数組が入ると満席になってしまうのだが、実際、毎月、何かしらのライブや企画を行なっていたようである(私は一度も参加したことがないので、どんな感じだったのかは分からないのだが)。
若夫婦二人で切り盛りをしており、那須の名店で修行をした旦那さんの作る料理が絶品。ホールでは優しくて気の利く奥さんがテキパキと仕事をされている。
隅から隅まで、お洒落やなぁ〜という店の雰囲気なので、初めて店に行った時は、私のような人間は不釣り合いかもなぁと思ったりしたが、じつは物凄くアットホームで居心地の良い空間で、二度目からは気張ることもなく気軽に行くことができた。

この店が出来る前は、当時まだメニューとして珍しかったイタリアンフローズンヨーグルトの店があり、1度だけフランスパンのサンドイッチとフローズンヨーグルトを食べに行ったことがあったのだが、あっという間に無くなってしまって、かなりの期間、空き店舗だったと思う。
ちなみに、私が記憶しているこの敷地の最初のイメージは、子供の頃に、薄いハンバーグとケチャップしか入っていない100円のハンバーガーショップがあって、その安さゆえ、結構な頻度で買って食べていたことだ。かれこれ40年くらい前だと思うけども。
そういうわけで、しばらく空き店舗だったところに、おしゃれなカフェが出来たので、物珍しさで入ってみたのが最初であった。
当初は昼と夜の営業で、昼はランチをやっていた。私が通ったのは専らランチである。1000円チョットで結構なボリュームのパスタやご飯ものに、サラダとコーヒーとスイーツデザートが付いてくる。大丈夫なん?赤字にならない?と思ったりしたが、どの食事も美味しいし、店が空いていたので(空いているのは店としては困るだろうが)人混みが嫌いな私には、すごーく居心地が良かったのだ。
なので、たぶん週一くらいで通っていたと思う。
メニューの中でも、特に私のお気に入りはグリーンカレー。ココナツミルクに厳選した香辛料やパクチーを使った本格的な具沢山タイカレーで、お好みで味の調節が出来るようにと小さいカップに入ったナンプラーが付いていくる。正直、ここまで本格的なタイカレー、宇都宮ではそうそう食べられるものではない。これに五穀米を浸して食べると超美味いのだ。夏場は結構な頻度で食っていたと思う。
そして、何より有難かったのは、東日本大震災で(流石に直後は店内が凄いことになっていて休みだったが)、まだ他の店が休業状態の中かなり早い時期に再開したことである。まさか開店していないだろうと思いながら試しに足を運んでみたところ、普通に営業していたので非常に驚いた。
しかも震災直後といえば物流がパニックでコンビニやスーパーの棚から食料が根こそぎ無くなっていたり、放射能の風説で外を歩いている人がほとんど居なかった時期。それにもかかわらず、コミノテはいつもと変わらないランチメニューを出していた。あの頃は食材も入手困難だっただろうし、買えても割高だっただろう。それでも通常と変わらない料金と量で食事を出すことは相当に大変なことだったと思う。心から「いただきます」と思いながら食べたのが昨日のことのようである。
それからしばらくすると、奥さんの体調を考慮して、昼夜の二営業から、夜だけの営業に変わった。
夜はほとんど出歩かないため、なかなか行けなくなってしまい、たぶん半年くらいは顔を出せていなかったと思うのだが、久しぶりに足を運んだら「お久しぶりです。また来て頂いて嬉しいです」と覚えていてくれたのは心底驚いた。私だったら、半年も会っていなかったら間違いなく顔など忘れる。そもそも半年も店に行かない客など、素っ気なく扱われても仕方がないはずなのに、夜はランチがないのをしきりに申し訳ないと頭を下げた上、コーヒーをサービスで付けてくれたりと、マジ、ちょっと涙が出そうになったのを覚えている。
夜のみの営業になってからは、おそらく数える程しか行っていないと思うのだが、それでも行くたびに丁寧な挨拶とコーヒーのサービスがあって、たまにしか顔を出さない上に、珈琲までサービスして頂いて、ちょっと申し訳ないなぁと思っていた矢先の閉店である。もう少し、足を運んでおくべきだった。
最後に店に行った時、奥さんから、お店が好きなので、また一段落したら新しくお店をやりたいと思っているから、その時にはお知らせするので来て欲しいと言われた。
いろいろな店に行くが、またいつか会いたいと店の人に言われたことなど一度も無かったので(まぁ、あまり自分から店の人に話しかけたりしないということもあるが)、間髪を入れず、必ず行きますから教えて下さいと答えた。
きっと、この夫婦なら、また素敵なお店が出来ると思う。それが何処であったとしても、私は必ず店に行きたいと痛切に思っている。
震災の記憶と共に、私の心の中の大切な場所になったコミノテ。新コミノテが出来るまで、この心の記憶は大切にしておきたい。
コミノテさん、5年間、本当にありがとうございました。
<追記:2015.12.20>
2016年、新コミノテがオープンするとホームページで発表がありました。オープンしたらブログに何か書くかも。

2件のコメント

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    はじめまして、猫田様。
    いつも楽しくブログを読ませていただいています。
    今回のブログの内容とはまったく関係ないことで恐縮なのですが、金継ぎについて質問させていただいてもよろしいでしょうか?
    猫田様のブログからイロイロ金継ぎについて勉強させていただき、筆や砥の粉、MR漆など少しずつそろえてきたのですが、金を蒔く時に使用する金の種類や使用する道具の購入に迷っています。
    金継ぎに使用する金は、消粉を使用する場合、または、金丸粉を使用した場合それぞれの適した号数は何号ぐらいが適しているのでしょうか?
    そのときに使用する必要な道具等紹介していただけないでしょうか?。
    また多少のこつ等ご紹介いただければありがたいです。
    私、金継ぎをやろうと思い立ってから2年以上自分なりに資料を集め続けたのですが、いまひとつ踏み切れずにいたのですが、猫田様のブログに出会い、金継ぎに取り掛かる準備をし始めたところです。
    勝手なお願いとは承知しておりますが、差し支えなければ後指導いただければと思っております。
                             埼玉 中村。
                           

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; Intel Mac OS X 10_10_3) AppleWebKit/600.6.3 (KHTML, like Gecko) Version/8.0.6 Safari/600.6.3
    コメントを頂きまして有難うございます。
    金継ぎの話はちょっと長くなりそうなので、後日、ブログ記事としてアップいたします。
    週末辺りに時間をとって書きますので、少しお待ち下さい。

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