オキャロランの調べに行ってきた

久しぶりに、40オーバーの出不精なオジさんが現地へ行ってみるシリーズ(いや、別にシリーズではないし、前回、そういうタイトルだったかどうかも定かではないが)をお届けしたいと思う。
今回行ったのは、「オキャロランの調べvol.3」というコンサート。出演は、小川倫生(おがわあきお)さん、安生正人(あんじょうまさと)さん、アイリッシュブレス(姉妹デュオ)、篠崎友美(しのざきともみ)さん、という面々。
実を言うと、オキャロランの調べ、はvol.1の時に行っているので今回が初めてではない。vol.2は知らない間に終わっていた。vol.1はブログに書いてないと思うのだが、書かなかった理由は、あまり面白い出来事が起きなかったというだけで、コンサートは実に素晴らしく心を打つものだった。と、先に記載しておく。ちなみに、今回もコンサートの内容について詳しくは記載しない。もうちょっと面白い話があるので(と、ハードルを上げても良いのだろうか?)
早速本題に入りたいのだが、その前に、オキャロランって何?という話を書いておく必要があるだろう。オキャロランというのは人の名前だ。もう少し詳しく説明すると、18世紀に活躍したアイルランドの国民的な作曲家であり、盲目のアイリッシュハープ演奏者だ。今で言えば、さすらいのシンガーソングライターって感じかもしれない。旅をしながらアイルランド各地を周り、その土地で曲を作って演奏するというスタイルで、曲の多くに、その土地で出会った人の名前が付けられている。作られた曲は現在、分かっているだけで250曲余。ケルティックな美しいメロディーで聞く人を魅了する。ケルティックは、ケルト民族独特の音楽で、日本ではフィギュアスケートでケルティック・ウーマンが用いられ、一台ブームになったから大体の雰囲気は分かると思う。(ちなみに、私がケルティックを初めて意識したのは、20年以上前に発売された天使の詩というPCエンジンのゲームのBGMなのだが。まぁ、それはどうでもいいとして。)
で、本来はケルティックハープという、オーケストラで使うハープよりもずっと小さいハープを使って演奏する曲なのだが、これをギタリストの小川さんと安生さんがギターアレンジで演奏するというのが「オキャロランの調べ」コンサートだ。
ちなみに、今回は小川さんがギター、安生さんがアイリッシュハープ、アイリッシュブレスがハープとアイリッシュティン・ホイッスル(というアイルランドの伝統楽器。すごく小さい縦笛)、篠崎さんがフィドル(ヨーロッパではバイオリンをフィドルと言うらしい)という組み合わせで、前回のギターデュオ状態よりも、かなり音に広がりが出たものになっていた。さすが、三回目となると、見せ方も数段上がっている。
さて、ようやく本筋に戻る。
前回のコンサートは夕方の5時開演ということで、帰りのことまで考えて車を使ったのだが、入場無料のコンサートに車で行って駐車場代を1200円取られるのはアホらしいため、今回は、昼の2時始まりで天気も快晴、時間にも余裕があるという判断から、40分かけて歩いて会場まで行くことに。花粉が飛び交っているがマスクをして鉄壁の防御をすれば大丈夫。というわけで家を出る。
何の問題もなく現地到着。先着順だが、まだ列をつくる人の数は少ない。思った通り余裕であった。5分ほど待って開場。自由席なので、適当な席に着き、入り口で貰ったアイルランドの小冊子を読みながら開演を待つ。
少しすると会場に人が増えてきたようで、ざわざわとした雰囲気に。何の気なしにふと、冊子から目を上げて会場を見わたして、あれ?何かちょっと違和感を感じる。何だ、この違和感は。最初はその理由に気付かなかった。だが、よくよく見て分かった。私以外、ほとんどの人が緑色なのだ。いや、人間が緑色なわけではない。緑色の物を身に着けているのだ。それで会場がなんだか緑色に見えるのだ。コンサートスタッフに至っては、全身緑色の服。何だ、何か来るところを間違えたか、それともドレスコードとかあったのか?でも、ちゃんと会場に入れたし。何も問題なくコンサートを待つはずが、始まる前に心臓バクバクである。これでピッコロ大魔王とか出てきたら、絶対、会場を間違えている。どうする?と余計な心配をしはじめる。
開演時間になり、司会の方が登壇。「今日は、皆様、ようこそお越し下さいました。」あぁ、普通の挨拶だ。大丈夫、問題ないと思った次の瞬間「そして、皆様、緑色の物を身につけてご来場頂きありがとうございます。」……っんだー!!やっぱりそうか、緑の集会なのか!コンサートじゃないのか?!そういえば貰ったパンフレットの紙も緑色じゃないか、今頃気付いた。ここへ集まる人は、緑色を理解しているのか!どうする、逃げるか。いや、でも別に自分が緑じゃないというだけで悪いことしているわけじゃないし。もうちょっと我慢して、どうしようもなかったら逃げよう。とか考えて、冷房の効いた部屋なのに汗がドバーっ。
しかし、次の言葉で、一気に汗が消えてホッとした。「今日はアイルランドフェスティバルにちなんで、スタッフも緑色を身につけています。コンサートの前に、それについて少し………。」というわけで、まぁ、緑色の事前準備を知らないのは私だけだったが、要するに作曲家オキャロランが活躍したアイルランドの祝祭日にちなんで緑色なんだそうな。
アイルランドフェスティバル、正式には(というか世界的な祝祭日として普及させるためにアイルランドフェスティバルと言っているらしく、現地では)セント・パトリックス・デーというそうだ。アイルランドにキリスト教を布教したパトリックさんを讃える日、ということだが、アイルランドと言えばケルト民族にはケルトの宗教があるわけで、異宗教の布教をした人間を何故、讃えたりする必要があるのかと考えてしまう。だが、このパトリックさん、人徳が高いというか頭が良いというか、ケルトの神様や妖精伝説と、キリスト教を上手く融合し、ケルト民族の尊厳を失うことなくキリスト教も理解させることで、実に平和的に宗教改革をしたそうな。つまりキリスト教の布教と妖精の普及を平等に行う偉業をしたということで、聖パトリックさんとして称賛されることとなる。
では、どうして緑色なのか?アイルランドのシンボルカラーは「エメラルドの島」と言われるアイルランドを象徴した緑色。つまり緑色=アイルランドということで「アイルランドの日は緑色」としたわけですな。
ちなみに、このセント・パトリックス・デーでは三つ葉のクローバー模様が象徴的に使われるが、これは、アイルランド国花「シャムロック」の葉っぱの意匠。先のパトリックさんがキリスト教の三位一体説(神様とイエス・キリストと聖霊は、形こそ違えど同じものだよ、という説)を説く時に、一番ケルト人に見慣れたシャムロックの葉っぱを使ったことに由来するそうで、パトリックさん説得力ぱねぇっす、というところですわ。
そういうわけで、こんな感じの解説を聴いて、コンサート開始。約2時間半強、曲の解説も丁寧にして頂けたり、アコースティックな楽器の美しい演奏を堪能したり。心が洗われました。
で、コンサート終了後にちょっとしたプレゼントが、抹茶アイスクリーム割引券。アイルランドではセント・パトリックス・デーに「コルカノン」という伝統的な緑色のポテトサラダみたいなものを食べるらしいのだが、日本ではまだ売っていないので、出入り口にあるお店で抹茶アイスクリームを買ってね、ということらしい。
あぁ、いいかも。抹茶アイスクリーム。ちょうどアイス食べたかったし。と思って、帰りに買ってみたのだが、来た時は昼の2時だが帰りは夕方の5時。日も影って風も出ている。しかも、歩くと暑くなるだろうと薄着してきた私にとって、この時間に抹茶アイスを食べながらの帰路40分は、かなりのダメージ。
そして思った。……車で来るべきであった。

2件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; NP06)
    セントパトリックデーにちなんだ、コンサートがあるんですね。
    毎年、だいたい3月16日くらいに、各地でセントパトリックパレードがあります。
    私も、過去2回観に行きましたが、みなさんパレードに参加される方は、緑の服だったり、帽子をかぶっていたり、顔にシャムロックを描いていたりです。
    会場あたりで配ってる、シャムロックの描かれた緑のバルーンをもらうのが、いつもお約束でした。
    アイリッシュハープは、ギネスビールのラベルに描かれているものですよね。
    ダブリンのトリニティカレッジへ、観に行きました。
    あと、ギネスビールの工場見学も(笑)
    パレードは知っていましたが、そういうコンサートがあるのは、知りませんでした。
    来年は、少し調べて近くでパレード以外のイベントを探してみます。
    情報ありがとうございました。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; Intel Mac OS X 10_8_3) AppleWebKit/536.28.10 (KHTML, like Gecko) Version/6.0.3 Safari/536.28.10
    コメントありがとうございます。
    話によると、今年はしばらくぶりで日曜日とセントパトリックスデーが重なったということで、アイルランド観光協会が協賛などで各地のアイルランドフェスティバルに力を入れたそうです。
    来年は重なるのかな?よく分かりませんが。重なったら、いろいろやるかもしれませんね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です