生まれて初めてコンサートへ行くの巻 後編

今回は、前回からの続き。後編だ。いよいよコンサート当日。
5.いざ、コンサートへ
コンサート当日は、午前、午後と講習会が入っており、終わって家に荷物を置いてから会場へ直行というハードスケジュール。何故こうも大切な用事と講習会が重なるのか。それでもコンサートへ行けなくなったという最悪な事態は避けることができたのでラッキーだということにしておくべきだろう。
ラッキーか。本当に?実は、結構、これが大変だったのだ。
午後の講習会が終わった帰り道、法定速度をきっちり守って車を走らせていたところ、レイパンを履いてサングラスをした(もう夕方だしサングラス要らないだろ?)結構な歳と思われる自転車乗りがいきなり飛び出して来たため慌ててブレーキを踏んだ。人身事故を避けることは出来たのだが、積んでいた講習会の荷物が後ろでひっくり返ってしまった。仕方なく空き地を見つけて車を止め、荷物が無事かどうかを調べる。案の定、作品の一部が損傷。何とか形を戻して家に帰り、損傷した部分を丁寧に修理する。で、気がつくとコンサート開場1時間前。会場へは車で20分ほどかかる。
ちなみに、コンサートには開場時間と開始時間というのがある。開場時間は椅子に座ってもいいですよぉという時間。開始時間は山下達郎氏が登場しますよという時間。よって開始時間までに間に合えば問題は無いのだが、人が多いので当然、開場時間に行かねば開始時間までに椅子に座れない可能性がある。開場時間に会場に居ることは必須だ。
という知識だけは入手していた。よって、開場時間には絶対に会場に入っていなければならないのだ。
しかし、この日、私は忙しく、朝にアンパンと野菜ジュース。昼飯も夕飯も食べていない状態であった。このままでは絶対にコンサート中に力尽きるので、入場前に少しでも何かを口に入れておきたい。急いで家を出て車に乗り、会場へと向かう。途中のコンビニで何か買おうと決めていたのだが、まさの渋滞。途中で車を止めたら最後、間違いなく開始時間に間に合わない。仕方がない。会場に駐車してから、館内の喫茶店で軽食を、と予定変更し会場へ向かう。
コンサート会場が見えてきた。大丈夫、まだ開場まで20分ある、余裕じゃん。食事も出来るだろう。落ち着け。焦らずにアクセルを踏む。だが迂闊であった。開場へは着いた。なのに車を止める場所が無い。田舎というのは車文化なのだ。そう、もう駐車場は満車。その上、駐車できない車がノロノログルグルと駐車場内を走る悪夢が広がっていた。さらに視界の端に見えてしまった。会場の入口に長蛇の列。最悪だぁぁぁ。
もはや心に仏はいない。車一つ分のスペースがあったら何を言われようが止めるしかない。そして見つけた、会場から一番遠い駐車場入口脇の門の横に一縷の望みを。車を押し込み、会場へ猛ダッシュ。空きっ腹が揺れる。長蛇の列の最後に「ここが最後尾」の立て札を持った人が。「これ、山下達郎コンサートの列ですか?」一応、確認をしてみる。「そうです」を聞き、列に並んでやっと一安心。並んですぐに開場がアナウンスされた。
6.入場してはみたものの
結局、何も食べることが出来なかった上に猛ダッシュで喉はカラカラ。とにかく椅子に座りたい。全席指定だ。絶対に座ることは出来る。椅子プリーズ。などと思いながら、やっとモギリの係の人の前に。チケットを切って残りを渡され、さて入場だと思った瞬間。「カバンチェックです。カバンを開けて下さい。」という係の人の声。まだ入れないのかーい。まぁチェックされて困るような物は入っていないし、躊躇うことなくカバンを開けると、係の人の眼の色が変る。「撮影禁止なので、カメラをお預かりします。」え、あ、いや、別に私はこのカメラで撮影をする気は一切無くて。いつもカバンに入れてるだけなので。何?手続き?あぁ帰りに返却してもらうために手続きが必要なわけね。あ、はいはい。というわけで、別れた愛機に番号札が付けるられるまで待機。番号札の半券を受け取って、やっと入場が許された。
ロビーに入ると、これがまた長蛇の列。
何で?何でみんな椅子に座らないの?と、列の先頭を見たところ、そこにはグッズ販売所。遠くの方で「コンサート限定CD販売してまーす」「コンサートツアーパンフレットはこちらでーす」「Tシャツ残りわずかです!」という声。
そうかぁ、こういうの記念に買うんだぁ。そりゃそうだよねぇ。俺も映画見たら必ずパンフレット買うもの。コンサートでもグッズ売ってたら買うよねぇ。って気分は有頂天。だが、この時、気付いた。あれ、今日は忙しくて何処にも寄る時間がなかったよね。ってことは・・・。グッズ買うお金が無いかも。うわっちゃー、財布を見たら4000円。ツアーパンフが2500円。残り1500円。・・・キーホルダーくらいしか買えねぇー。コンサート限定CD欲しいー。買えねぇー。と、軽くパニックになるも、列は進んで自分の番に。仕方がなくツアーパンフだけ購入。いいじゃないか、ツアーパンフは十分記念の品さ、ここでしか買えないんだもの。で、ふと販売所の横に目をやると、、、カロリーメイトの自動販売機!!忘れてた、俺、腹減ってるんだった。よかった、お金を残しておいて。これでコンサート中に力尽きることもない。買っちゃう。二箱買っちゃう。そして、ロビーの隅でモソモソとカロリーメイトを平らげた。
よし、準備万端。階段を上がって、いよいよ二階席へ。コンサート開始5分前。
7.開演
会場には洋楽が流れていた。洋楽には疎いので何の曲かは分からないが、サンデーソングブックで聞いたことのある曲かな?椅子に座って一息付くと、すぐに開始の合図。
暗転。やがて大音量でアルバムRay Of Hopeの希望という名の光 (Prelude)が繰り返し流れる中、メンバーがひとりひとり階段から降りてくる。薄暗くてよく分からないが、それでも、会場は割れんばかりの拍手。そして、最後に山下達郎氏登場!!とは言っても、私は山下達郎という人物を写真やビデオでしか見たことが無い。さらに2階席端の一番奥ということもあり、最初は、どれが山下達郎氏なのかさっぱり分からなかった。が、ステージ中央に立ちスポットライトが当たると、おぉぉぉ凄い、山下達郎じゃん!生ヤマタツじゃん。もう感無量、感極まって涙腺爆発。男泣き。よもや最初から山下達郎氏を見て泣くとは。まだ歌ってないじゃん。声も出してないじゃん。どんだけ涙腺ゆるいんだよ、俺。
そして、1曲目がスタートする!隣の人が「おぉ」と声を出す。
きたー、その曲から始まるのかぁ!そりゃ出るわな、この曲から始まったら。さっきまで車の中で俺もJOY聞いてノリノリだったもの。くぁー、たまらん!ギターの音、たまらん!
ネタバレになるので、曲目や話の内容などはあえて書かないでおく。山下氏もブログやTwitterでのネタバレについては何卒よしなに、とおっしゃっていましたので。
実は、1曲目が始まるまで、コンサート未経験ということで、私は一体、どんなノリでコンサートを見たら良いのかさっぱり分からなかった。体を揺らせば良いのか?一緒に歌ったりするのか?手を叩くのか?それともじっと歌を聴いていればいいのか?とりあえず、となりの人の真似をすれば問題は無いんだろうか、なんていろいろな事を考えていた。もしかして、自分だけノリが悪くて浮いたりしないんだろうかと、正直、不安なところもあった。
だが、1曲目が始まると、もう、そんな不安は吹っ飛んで、気がつくと力いっぱい手を叩いていた。会場のお客さんもずっと手を叩いていた。2階席だったので、1階のお客さんがどんなノリでコンサートを楽しんでいるのかも全部見えた。チケットを入手した時は、えぇ2階席かよぉと思ったものだが、今にして思えばコンサート初心者にとっては2階席で良かったと思う。ある程度、落ち着いてコンサートを見ることも出来たし。まぁ、端っこなので、ちょっとステージが見にくかったことはあるけども。
山下達郎コンサートで驚いたのは、山下達郎氏の声量とパフォーマンス。あと2年で還暦なのだそうだが、歌っているのはどう見ても20代。マイクを使わずアカペラを歌っても、2階席奥までしっかりと発音が聞き取れる。しかも、3時間のライブで最後まで声量も音程も落ちることが無い。飛び跳ねることは無いが、ステージを右に左に、階段を登ったり降りたり。ギターを掻き鳴らしてのパフォーマンス。プロフェッショナルだ。とんでもないプロフェッショナルだ。ミュージシャンって凄いと心底思った。
MCはラジオよりも少しトンガっていて、そのトンガリが心地良く、笑いをとったり希望を語ったり。
最後まで、とにかく「頑張って、この日本を少しでも良くしましょう」っていうメッセージにブレが無くて、もう、今、思い出しても涙腺が緩むほど。山下達郎氏の音楽があれば日本は良くなると純粋に感じた。
もちろん、いろいろな仕掛けや、ステージのライティング、変っていく背景の美しさ。どれを取っても全てが一級だと思う。
そして、何より、あれだけの大音量、大音圧のステージでありながら、全く耳も頭も痛くならないという不思議。安いスピーカーやヘッドホンであれば、3時間、あの音圧の中にいたら間違いなく体に変調をきたして当然のはずなのに、それが無い。むしろ心地よいとすら感じる。これが山下達郎氏の音へのこだわりなのか。音が良いとはこういうことなのか、と感動せずにはいられなかった。
8.終演
「本日の公演は全て終了しました」というアナウンスが流れ、会場が明るくなる。
全てに圧倒された。コンサートって凄いな。それ以外の言葉が無かった。
開演前は、飯が食えなかったら、帰りにファミレスでも寄って飯食って帰ろうと思っていたのだが、終わった時には、もう、なにか胸が一杯で空腹などどうでも良くなっていた。腹が減っているということに気が回らなくなっていたというのが正しいかもしれない。
車に乗り、エンジンを掛けた。
車載のiPodから山下達郎ナンバーが流れた。
この曲も、この曲も、そしてこの曲も。ちょっと前に生の声で聴いた歌だ。
頭の中に、歌う山下達郎氏が鮮明に残ってた。
人生初のコンサートが、山下達郎で良かった。この歳でコンサートを見ることが出来て本当に良かった。
そう思っていたら、いつしか、曲に合わせて一緒に鼻歌を歌っていた。
追伸
カメラを返却してもらうのを忘れて帰って来ました。翌日、取りに行きました。
どんなに感動しても、完全に頭をカラッポにして帰ることがないように、コンサート後は注意しましょう。

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