生まれて初めてコンサートへ行くの巻 前編

久しぶりのブログ更新。実はTATSURO YAMASHITA PERFORMANCE 2011-2012コンサートへ行ってきた。今回は、その全貌をここに記したいと思う。まだコンサートへ行ったことが無いという人は、先人の失敗をしっかり読んで頂くと自信を持ってコンサートへ行けると思う。ちなみに、かなりの長編だ。そして、今回はその前編になる。早速始めよう。
1.それは地震から始まった
夕方、iPodのゆれくるコールが鳴ってすぐに震度3の地震。そして直後にメールの着信音が鳴った。揺れが収まるのを待ってから、メールを開く。
「《必ずご確認ください》抽選結果のご案内」
怪しいメールかと思ったが、スパムフィルターを通過して受信フォルダに入るのは珍しい。スパムだとしてもフィルターを通過したものは見てみたい。一応、中を確認することにした。一行目。「お申し込みいただいたチケットをご用意しました。申し込み内容をご確認の上、必ず下記【支払期限】までにお手続き下さい」
支払い系のスパムメールかと注意しながらその先を読む。
「山下達郎 宇都宮文化会館大ホール」
瞬間、明らかに私の中の時が止まった。正直、何が起こったのか理解出来なかった。そして、随分前に自分が何をしたかをやっと思い出した。
震災後、自分が作ったたくさんの器の残骸を片付けながらラジオから流れるRay Of Hopeに涙を流し、ニューアルバム発売でいろいろな番組に出演する山下達郎氏の話に勇気づけられ、そして、深夜、何かに押されるようにネットでコンサート先行抽選に応募したのだ。山下達郎コンサートのチケットはプラチナペーパーだ。だから先行抽選に応募しても当たるはずがないと思ってた。それが、当たった。
嬉しくて泣くのはキャラじゃない。しかし、この時は本気で嬉しくて泣いた。
そして、同時に、猛烈な不安に襲われた。私は生まれてから一度もコンサートというものへ行ったことが無い。それ以前に、コンサートへ行く手順というものが分からない。チケットは当たった。だが、それをどうやって入手すればいい?
とりあえずメールに指定されたウェブサイトを開き、注意書きを読む。
だが、さっぱり分からない。いや、手順は理解できた。だが、チケット代の他にいろいろと手数料が記載されている。これは何だ?本当に必要な金なのか?もしかして私は、山下達郎コンサート詐欺に引っかかろうとしていたりするのではないだろうかと、いらぬ勘ぐりまでしてしまう。40歳も半ばに手が届きそうなオヤジがディスプレーの前でアタフタである。
手数料について、更にネットで検索していく。
なるほど、チケットを入手するためには、仲介する会社にそれぞれ手数料を払う必要があるのか。とやっと理解する。
にしても、8000円のコンサートチケットを入手するには、トータルで1万円用意する必要があるとは。映画館でチケット買うのとは訳が違うのか。そういえばネットでチケットを買うというのがすでに人生初の体験。そりゃ勝手が分からないのも合点が行くというものだ。
2.予約券
翌日、さっそく銀行で必要なお金を下ろして気付く。そういえば近所にFamily Martってあったっけ?セブンイレブンやローソンがあるのは知っている。だが、Family Martは見たことが無い。家に帰ってパソコンを立ち上げ、GoogleMapでFamily Martを探す。やはり近所には無かった。車で10分くらいのところに1件見つけた。たぶん、そこで買えるだろう。車で向かう。
Family Martに着いて店内へ。レジへ直行しメールをプリントアウトした紙を店員さんに見せると「そこの端末で、操作してから来て下さい」と言われる。え?端末って何?目が点になっている私に、店員さんは優しく端末まで誘導し、メールの紙を見ながら「この番号をここに打ち込んで下さい。あとは、表示に従って下さい」と教えてくれた。
俺、完全に時代から取り残された老人状態じゃん。ダメじゃん。完全に舞い上がってるし。挙動不審者そのものじゃん。そういえばサイトのページに書いてあったよ端末云々って、と気を落ち着けながら、登録番号やら電話番号やらを入れてOKを押す。端末からレシートみたいなのが出てきたので、それを取ってレジへ。
店員さんがレシートのバーコードをレジに読み取らせると、奥のプリンターから、何やらチケットらしきものが印刷されて出てきた。
平静を装いながら、それでも、軽く手を震わせてチケットを受け取る。やったー、チケットゲットー!と心の中でガッツポーズ。これでコンサートへ行けると思った瞬間、店員さんが放った言葉は「これチケットじゃなくて予約券ですから。整理券みたいなものです。もう一度、チケット交換に来てください。」
なぬぅっ!チケットと違うんかい!
たぶん、先の手順を知らないお馬鹿な私の行動を見て、優しい店員さんは気をきかせて助言してくれたのだろう。有り難い。本当にありがたい。あわや、私は予約券を持ってコンサート会場へ直行してしまうところであった。
チケットは一斉にチケット発売日で販売開始となる。あくまでもチケット入手は平等だ。先行抽選で当たった場合は予約券をチケット発売日に交換するという手順になっているらしい。
「これ、封筒に入れますか?」と優しい店員さんが言った。普通、予約券で封筒なんてやらないんだけど、こいつは封筒に入れて保管させないと絶対に予約券を失くすだろう、と店員さんは思ったのかもしれない。優しい店員さんだ。私は「お願いします」間髪を入れずに答えて頭を下げた。
封筒に入った予約券を受取り、店員さんにお礼を言ってコンビニを出る。
一応、冷静を装ってはいたが、車に乗ってドアを締めたとろこで遂に涙腺決壊。
予約券ゲットではあったが、私にとってはチケットを手にしたも同じ。完全に感極まってハンドルに顔をうずめて周りにバレないようにしながら声を出して泣いた。マジ泣き。嬉しかった。たぶん人生で物心付いてから五本の指に入るくらいの感動だったと思う。車で行って良かった。歩いたり自転車だったら、間違いなくキモいオヤジが道で声を出して泣いてると、ドン引きされるか、あるいは警察を呼ばれていたと思う。ありがとう愛車。ありがとうハンドル。
そして予約券の入った封筒を、カバンの一番奥の小さなポケットの中に仕舞った。
3.チケット交換!
いよいよチケット交換日となった。交換開始は午前10時からである。
だが、この日は午前と午後に陶芸講習会が入っていた。講習会は10時からなので、荷物を積んで家を9時には出る。チケットと交換出来るのは講習会終了後の4時過ぎしかない。まぁ予約券は持っているのだから、チケットが入手出来ないという危険は無い。慌てることは無いさ。きちんと仕事をして、堂々とコンビニで交換すればいいではないか。朝、そう自分に言い聞かせて家を出た。
その考えが間違いであったことに気付くのは、午後4時30分過ぎのことである。
午後の講習会も無事終わり、荷物を積んだままFamily Martへ。
カバンから予約券を出し、レジで店員さんに渡す。「そこの端末で、操作してから来て下さい」と言われる。え?端末?またかー、また端末で操作してからじゃないとダメだったのか。恥ずかしいのと、端末で何をすれば良いのかが分からず、完全に挙動不審者モードに突入。先の挙動不審な私を覚えていたのか、優しい店員んさんはまた私を端末まで誘導し「予約券のこの番号をここに打ち込んで、あとは表示に従ってください」と説明してくれた。重ね重ね申し訳ない、店員さん。ありがとう。
そして、端末から出てきた長いレシートを持ってレジへ。バーコードを読み取り、プリントされたチケットを手渡される。「105円です。」ここでも手数料があったのかー。まぁ驚くほどではない。ちょっとビックリしたけども、それくらいなら銀行で降ろさなくても財布にある金額だし。
というわけで、無事、チケットをゲットした。心底嬉しかったが、さすがに予約券の時のように泣いたりはしなかった。だが車に乗ってから、マジマジとチケットを見た。これがコンサートチケットか。これを持っていれば山下達郎氏に会えるのか。感動が込み上げてくる。
そしてチケットのある文字が目に入った。「2階席◯◯の3」。
・・・ん?・・・、2階の端っこの一番奥の席じゃーん。ステージ見えにくいんじゃないか、この席って・・・。
コンサートチケットは午前10時から一斉販売になる。当然、入手の早い順に前から埋まっていく。チケット入手が遅くなればなるほど、ステージから遠ざかっていくという当たり前の法則を、私はすっかり忘れていた。現在、午後4時30分、10時の発売開始時間から6時間以上が過ぎている。おそらく、私は限りなく最後に近いチケットゲッターだったであろう。コンサートチケットは時間との戦いによって争奪するものなのだ。気付くのがあまりにも遅かった。
まぁ、それでもチケットは入手した。あとはコンサート当日まで無事に生活していればいい。生きていれば必ずその日は、やって来るのだから。
4.その後のはなし
チケット入手からコンサートまでは、出来るだけ平穏に、気を荒立てたりして体調を崩すことのないよう十分に注意した。体調不十分での初コンサート参加など末代までの恥である。どう転んでも納得できない生涯の汚点になってしまう。
が、人生とはそう上手く行かないもので、チケットを入手してから数日後、私は益子の仕事で解雇通告を受けた。これについては2万5千文字くらい書きたいことがあるのだが、まぁブラック会社のことについては追々、気が向いたら書こうと思う。とりあえず、かなり落ち込むことはあったがコンサートに万全の態勢で行くという目標があったので、それで体調が崩れることは無かった。あまり人生で目標というものを持って生きたことが無かったので、目標があると人間は強くなれるということを実感する出来事ではあった。
(後編に続く)

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