謹賀新年

明けましておめでとうございます。
って、遅い。明らかに遅いと思うけど、年賀状は松の内の15日までOKってラジオで言ってたので、とりあえず良しってことで。
年末は27日から年始は7日まで、ほん陶は休みだった。「休みが長くてゆっくりできたでしょう」なんて人からは言われるが、実は年末年始は益子でバイトである。しかも休みなし。年末年始は家族で一緒にゆっくりと、というのが日本人の典型である。家族がせっかく集まったのだから、ちょっとはイベントっぽいことをしようじゃないか、ということで益子へブラブラと遊びにくる人々は案外多い。陶器市ほどではないが、プチ書き入れ時で忙しくなるのが益子サービス業の年末年始だ。そういうわけで、ほん陶が休みだからといって、店主も休んでいると思うのは大きな間違いだ。自営業者には「休み=ゆっくりする」という発想で話をするのは、できるだけ自粛していただきたいと思ったりする今日この頃(そもそも、自営業者は休みであっても脳の中は仕事のことを結構考えているものだし)。もちろん休み=ゆっくりする自営業者もいるんだろうけど。
年明け早々からの愚痴はこの辺にしておいて、お年玉代わりに修理の話でもしようと思う。
まずは、グルテン漆の水没試験の経過報告。水没から6ヶ月を経過したグルテン漆修理の湯飲みは、いまだ変化なし。半年も水没させて接着力が持続しているのだから、しっかり接着するということで、そろそろ水没試験も止めようかと思ったりしたのだが、どうせここまでやったのだから、接着力が落ちるところも見てみたい。
金継ぎの再修理をするときは、熱湯と高圧蒸気を使って古い漆を落としているから(結構、簡単に落ちる)、水温による影響は大きいと思うのだが、あえて水温を上げて無理に接着力を落とす必要もないと思うので、とりあえず常温で水没させておこうと思う。
次に、錆漆の接着強度を上げるために、グルテン漆を粘着剤として使用したらどうか、という隙間テープ式工法の話だが、これは完全に頓挫した。というか諦めた。
一番の理由は、硬化時間の問題で、釉薬面に塗って2ヶ月ほど放置しカッターで削ってみたのだが、まだ漆の臭いがした。臭うということは、硬化が完全ではないということを意味する。つまり、隙間テープ式工法で修理をした場合、2ヶ月で返却をしてしまうと、漆かぶれを起こす危険があるということだ。もしかしたら半年以上置けば硬化するのかもしれないが、修理業を前提に考えると、そこまで品物を預かって時間をかけるのは、場所の問題もあるし、それに伴う料金のことも考えるとさすがにきつい。
それと、グルテン漆を使っても施釉面(つまりガラス面)への接着力はそれほど上がらないということが分かってきた。やはり漆が、非吸水の平滑面を接着するのには限界があるのだと思う。漆の本に書いてあるような、漆は何にでも密着するというのは、かなり狭い範囲の話か、あるいは幻想だと思ったほうがいい。特に日常使用する物については。漆そのものを変質させるとか、そういう大々的な発明でもしないかぎり、天然漆を接着剤として使用する場合は、状況に応じて接着力が低下するということを認識しなければいけないのだろう。
では、結局、錆漆の接着力は弱いままなのかというと、実は、そうでもないことも分かってきた。錆漆の接着力は思ったよりも強い。毎日、土を練っていたのに、それは案外盲点だった。
長くなってしまうので、この言葉の意味するところは、次回に続くということで。

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