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先日、新聞に記事が掲載されたが、手元に新聞が来なかったから記事の内容が分からんよ。という話を書いたら、ネットから記事が読めることが判明。
毎日新聞の記事は、コレ”県唯一、陶器専門に修繕「愛用の器、長く使って」”
なるほど、こんな感じの記事だったのか。
というわけなんだが、結構、丁寧に説明したんだけどやっぱり勘違いしている箇所があるなぁ。掲載前に連絡くれれば訂正したんだけど。まぁ記事の反響の少なさからして、このまま右から左へ受け流してもいいとは思うんだが、とりあえず勘違いはどこかで正しておかないといけないかと思うので、一応、アクセスの少ないサイトだけど訂正を書いておこうと思う。
まず、作業場が3畳と書いてあるけど、作業場は3畳ではない。6畳だ。とはいえ、修理品とか作陶講習会の作品などがたくさん置いてあるので、作業スペースとしては実質3畳くらいかもしれない。別に、作業場がどれくらいの広さだという話はしなかったので、記者の人の目線で3畳くらいに感じたのだろう。狭いのは確かだから、まぁいいか。
つぎ。「器が焼き上がるまで半年もの歳月が必要なのに」という文面。「構想から完成まで」という部分が抜けている。もうちょっと言うと、「構想し、土を選んだり色を調整し、サンプルを作って、実際に作品になるまでには半年以上かかる」というのが話をした正確な内容である。陶芸のプロセスを知らない人が読んだら、半年も窯を焚いているのかと思われそうな文章なので、ここは勘違いしないでほしい。それから、半年というのはあくまでも私のペースだ。天才肌の作家は、もっと短期間でどんどん作る人もいると思うが、まぁそれはそれ。もっとも短期間で作ったからといって、作品を軽視したり使い捨てにしてもいいということはない。ついでに書くと、よく既成の大量生産だからということで100円ショップの器を軽んじるエセ陶磁器マニアがいるが、100円であろうと100万円であろうと、陶磁器は完成までに人間の手か必ず介在する。100%機械生産というものはないし、そもそも100円の器だって、名もなきデザイナーが形や色を考え、原形師という人が元型を作っている。原形師の作る元型は「抜け勾配」がきちんと計算されていないと機能しなくなる。デザイナーの考えたデザインを抜け勾配の整合性を崩さずに作るのは高難易度でものすごく頭を使う。こうして出来た原型師のつくる元型はアートと言っても良いほど美しい。その上での大量生産だということを忘れてはいけない。
だから私は100円の器であろうと、100万円の器であろうと、全く同じプロセス、同じ時間をかけて修理を行っている。もちろん、修理剤も全く同じものだ。ちょっと話が逸れたか。
最後に、一番の勘違い「失われたすき間には自らつなぎを焼く」。これは無い。たぶん、金継ぎの話をしている時に、呼び継ぎとか、焼継ぎの技術の話をしたのだが、それとごちゃまぜになってしまったのだろうと思う。
粘土というのは、制作から完成まで、約15%収縮する。しかも、窯で焼いている間に歪みが発生するので、欠損部分と同じ欠片を焼くのは、ほぼ不可能に近い。もし欠損は焼いて作るみたいな話をする人がいたら(陶磁器は煮ると焼きしまるとか、焼き継ぎはガラスで接着するとか、聞きかじりを書籍にしてしまう現状が今でもあることを鑑みるに)、この記事を読んで勘違いしている可能性もないとは言えないので、釘を打って置く。それは無理です。
以上訂正箇所。
欠損を焼くというのは重大な間違いだけど、それを除けば良い文章だと思う。
こんな場所で恐縮ですが、記事を書いて掲載して頂いた毎日新聞社と記者の中村様には、心から感謝しています。ありがとうございました。

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