制音作業

じつは7月に車を買った。金あるじゃんと思われるかもしれないが、購入理由は、今まで使っていたミラの積載量では出張陶芸教室の作品移動が不可能になったからで、泣く泣くの出費である。よって選んだのは軽自動車の商用1BOXの最低ランクの新古車ハイゼット(NA、2WD、標準ルーフ、要するに一番安いタイプ。)である。ダイハツが好きってことではなく、単にディーラーが家から一番近かったから。ディーラーまで歩いて取りに行くと、納車の手数料がかからないし。
それはさておき、このハイゼット、運転シートの直下にエンジンがあって夏は徐々に運転席が蒸し風呂になる。蒸し風呂は窓を全開にして何とか凌ぐとして(エアコン付けると一気にパワーダウンするから)、それ以上に辛いのが騒音。ミラも決して静かな車ではないと思うが、ハイゼットは、ちょっとスピードを上げると途端にラジオが聞こえなくなるほど。ボリューム最大にすれば聞こえるが、それでは車外の音漏れで大迷惑この上ない。つまり、ラジオ好きの私にとってドライブは生き地獄である。
出来るだけ金をかけずに買った車だが、せめてラジオが聞こえる程度の静寂さは確保したい。
しかし、運転席で聞こえる騒音というのは、エンジン音、車体の振動音、ロードノイズ、走行時の風音などなど音の発生源の特定が難しく、さらに高音〜重低音まで、音域が非常に広い。勿論、制振材、遮音材、吸音材を使って、徹底的に音を抑え込むことは不可能ではないと思うが、制音材のために車体重量が重くなって燃費が悪くなるだろうし(高級車は重量の30%くらいが制音用らしい)、何より、そんな金は無い。出来る限り音の発生源に対してピンポイントな効果を安価で処理したい。
ちなみに、制音の基本は、振動の抑制と、多重反響による熱エネルギー変換だ。重量物や多孔質素材を使うことでこれが可能になり、使用する素材によって拾う音の波長が異なるとのこと。なるほど、それでネット検索すると様々な素材の制音材があるわけか。納得。しかし、概ね制音材は、ゴムかスポンジ(またはスポンジ状の布)か金属板の3種類だ。私の基本は完全な制音ではなく、ラジオが聞こえれば良い(音質にはこだわらない。パーソナリティの話し声が一番聞きたい)ので、極端な話、ラジオの音を阻害する波長のみ抑制させればいい。
このうち金属板は重量があるし値段が高いので却下。ゴムとスポンジで何とかならないかということで、100円ショップとホームセンターをまわったところ、あるじゃないですか。ゴムシートとフェルト布とスポンジ。さらにどれもお手ごろ価格。ちなみに、スポンジは耳に当ててみたところ、どうやら「激落ち君」のようなメラミン樹脂素材が吸音性に優れているようなので、これを買うことにした。黒ゴムシート、ニードルフェルト、大判メラミンスポンジ、全部で5000円程度。これらを両面テープで貼る。たぶん、ゴムは制振材、フェルトは遮音材、スポンジは吸音材が適しているんじゃないかと判断。場合によっては異素材を積層して多段制音できるんじゃないかと考えた。
さて、作業開始だ。
一番分かりやすいのはシート直下のエンジンが出す音。つまりシート下を通過してくるエンジン音と鉄板の振動音。これは直接振動に近いと思うので、シート周りのカバーを外し、適当に切ったゴムとフェルトの積層シートを張る。試しに近所を走ってみたら、エンジン音が篭った感じの音になった。ほぉ、効果ありか。でもラジオを聴くには、もうちょっと。
そこで、次の手。風の強い日に大声を出すと、声が大きく聞こえるのは風下の方だ。ということは、走行中の騒音は自分よりも後ろに流れるということに気が付いた。ならばリアシート下を制音させれば良いかもしれない。かなり広い面積だし、きっと効果が高いはず。エンジンに近いところにゴム、離れたところにフェルトとスポンジをペタペタ。試し走行。うーん、たしかに減った気がしないでもないが、思ったほど静かにはならないな。即席制音材の限界ってことか。
で、ある日、シートを倒して運転席から後部車内を眺めていたら気が付いた。後ろに流れた相当量の騒音は車内背面に当たって前方に反射してくるのではないだろうか。機密性の高い箱型の車内は、たぶん、この騒音が大きい。ということは、車中後部に吸音材を付ければ、制音効果は高いかもしれない。金属に反射する音を抑制すればベターなはず。ってことで背面ドアの内装も剥がし(ピンで止まっているだけなので、簡単に外れる)、むき出しになった鉄板にスポンジとフェルトの積層シートを貼ってみる。とりあえず、そのまま試し走行。・・・・・・おぉぉ、なんとなく空気が変わった。高級車のトランクの中ぐらいの静かさにはなったような気がする(高級車のトランクに入ったことないけど)。少なくとも、今までの超うるさい室内とは雲泥の差。
まだ制音材が少し残っていたので、タイヤハウスを覆っている内装も剥がしてペタペタ貼り、内装を戻して試し走行。あぁ、すごくいい感じ。今までレベル18で聞いていたラジオが、レベル12でも聞こえる。40km走行ならレベル10でも大きすぎるほど。
こうして制音作業に一区切りがついた。たぶん、きちんとした制音材を使えば、もっと効果が高いと思うのだが、まぁ5000円でこれだけ制音ができれば私としては申し分ないと思う。最近は箱型の軽自動車が流行っているようなので、もし、自分の軽自動車はうるさいなぁと思っている方は、是非、後方の制音を重点的にやってみて下さい。前方の制音よりも効果は高いです。

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