アロンアルファで陶磁器修理

また1ヶ月もブログ放置してしまった。別に、仕事が忙しいわけでも、体の調子が悪いわけでもないのだが、強いて言えば頭の回転が悪かった。思考の回転力が落ちるというのは、私にとってよくあることだ。こうなってしまうと一つのネタを持続して考えることが無理なので、わりと長めの文章を書くのがとても億劫(おっくう)になってしまう。高校受験に失敗して浪人したのも、多少、この影響もあったと思うので、ある意味、天性なのだろう。
それはさておき、更新が滞っている詫びに、大企業なら間違いなく企業秘密になる(かもしれない)陶磁器修理のテクニックを公開しようと思う。オリジナルテクニック(と自分では思っている)なので内緒にしておきたいのだが、陶磁器修理の発展を願ってあえてここに公開。
アロンアルファは食品衛生法厚生省告示20号適合で食器の接着に使用できることを以前に書いた。そういうわけで、私も器の修理には、漆とアロンアルファの両方を使ったハイブリット処理をしているわけだが、ハイブリット処理と書いたので「漆とアロンアルファを混ぜているんですか?」ってな質問を頂いた。結論から先に言うと、混ぜていません。
漆で接着をする場合、通常は瀬〆漆という、漆木の枝から採取した特別な漆に、練った小麦粉や続飯(そくい:粳米を練った糊)を混ぜた「糊漆」を使用するらしいが、糊漆は原料の質や混ぜ方が悪いと耐水性が極端に落ちるという欠点があってリスクが高い。でん粉には耐水性が無いから当然といえば当然だ。趣味の修理ならそれでも良いのだろうが、私は修理産業まで視野に入れているので、そうしたリスクは回避したい。そこで、私の場合、糊漆は使わず、呂色漆という粘りの強い漆を破損部両面に薄く塗布して張り合わせてから、アロンアルファを少量、流し込んで硬化させている。流し込むとは言っても、表面で瞬時に硬化してしまうので最終的な接合にはほとんど寄与していないと思うが、この方法を使うと接着ズレが回避できるし、使う漆が少量で済み無駄がでない。そして接着に使った漆が8割程度硬化したら次の作業が可能なので多少の時間短縮ができるなど利点が多い。陶磁器修理だからできる漆の必殺技。
ところで、実際に漆とアロンアルファを混ぜるとどうなるのか。やったことがなかったので実験してみた。結論は、あまり利点は無いように思う。漆にアロンアルファを入れて混ぜてみたが、少量なら全く漆に変化なし。量が多くなると、糊漆のようにベタベタしてくるのだが、漆の硬化が早くなるのかというと、どうもそうではないらしい。というかおそらくアロンアルファの重合が、漆の重合を阻害して、逆に遅くなっているように思う(それでも、かなりムロに入れっぱなしにしておけば、そこそこの強度で硬化する。)
この実験をやっていて気づいたのだが、アロンアルファに漆を入れると、アロンアルファの硬化時間を延滞させることができる。つまり、アロンアルファに何かを入れることで硬化時間を変えることが出来るわけだ。アロンアルファは瞬間硬化が売りなのだが、時として、この瞬間硬化が仇になる場合がある。そこで、人体に影響がないとして漆に添加されている原料を入れて、陶器修理に使いやすい接着剤が作れないかと閃いた。
とりあえず、手持ちの物で使用したのは、小麦粉、木節粘土、砥の粉(白)、砥の粉(赤)、弁柄の5種類。なお、アロンアルファは水分が硬化促進のトリガーになるので、これらは全て電子レンジで加熱して水分を飛ばしている。さて、結果だが、小麦粉、木節粘土、砥の粉(赤)は、若干の硬化延滞が期待できたが硬化が始まると煙を出してあっという間に固化するので調節というレベルでは使えなかった。有効だったのは、和親ペイント製の砥の粉(白)と弁柄。砥の粉(白)はそれ自体に粘りがあるので混合しパテとして使用できるという利点があり、弁柄はパテにはならないが少量の添加で、非常に硬化速度を遅らせることが出来る。(ちなみに、ガレージキットで使用されるエロジールというガラスの微粉末も弁柄と同じ硬化延滞の効果があるのが分かったが、人体への影響が不明なので除外。)かなりの量を入れてみたが、接着力が極端に落ちるということはなさそうだ。少なくとも、陶磁器修理で使用するには問題ないレベル。カッターで削り、紙ヤスリで表面を整えてから、お湯を入れたり電子レンジにかけてみたが、どちらも耐熱耐水。かなり使えるということが分かった。アロンアルファ系の即硬化パテにガレージキット用のアルテコSSP-HGというのがあるが、あれに似た使い勝手。ただし完全硬化するとアルテコよりもかなり硬い。アロンアルファだけで陶器修理をやっている方は、欠損充填として、砥の粉(白)と弁柄を20:1程度で混ぜてからアロンアルファで練って使うと、充填剤として非常に有効だと思う。
もうちょっと実験が進めば、案外、本を出せるレベルの陶磁器修理が可能になるかもしれない。長くなってしまったので、今日はここまで。

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