東京へ

弟の嫁さん経由で「仲良しの人が陶芸を体験してみたいということなのでやってくれないか」という話を頂いた。身内の頼みでもあるし、今はとにかく仕事があればあるほど嬉しいってことで快諾したのだが、その後に開催場所が東京だということを知った。快諾したのであとにも引けず、あぁ、えぇ、いや、たぶん出来ると思います。ってな感じでシドロモドロ。
陶芸体験そのものは慣れているから今までと同じようにやれば良いとして、その他に未経験の問題が2つある。
一つは、東京まで車を運転して辿り着けるのか。何しろ教習所で高速教習を受けただけで実際に独りで高速なんて走ったことがない。しかも方向音痴だから東京の道を走りながら、目的地に着くまでにたぶん泣く。でもまぁ、これは自分の努力次第なので、地図とイメージトレーニングと時速100キロを根性で乗り越えるとして、もう一つの重要な問題が、作った作品の輸送である。こればかりは慣れとか根性とか精神論で凌駕できる筋合いのものではない。しかも、万が一、輸送中に壊れてしまったら話にならない。市内であれば輸送に問題のないことは実証済みだが、それは時速40〜60kmで他の車に煽られながらもチンタラチンタラと辛抱強く運んだ場合で、これまで経験した移動時間は20分以内。真夏でも車内で作品が乾いてしまうなんて心配はない。だが、東京となれば、高速を使っても家から体験会場まで2時間くらいは余裕でかかる。途中のパーキングエリアで休憩すれば(精神的に持ちそうにないので間違いなく休憩する)、もっと時間がかかる。さらに、時速0km〜100kmでの負荷や、長時間、路面から受ける振動に作品が堪えられるのか、などなど。分からないこと山積だ。
で、考えていても埒が開かないので、実際に自分で作品を作って車に乗せ、宮環(宇都宮環状道路)を走ってデータをとることにした。宮環は一般道なので本当は最大時速60kmまでなのだが、実際、そんな速度で走るドライバーなどいるはずもなく、大抵、時速80kmくらい出しているのと、一周で大体2時間くらいかかるので、それなりのデータが取得できる。
で、何度か実験を行った結果、「手ロクロから作品を切り離さないこと、負荷や振動を軽減するため柔らかめのゴムシートに乗せること、作品は紙袋(ビニル袋にすると逆に湿って作品がゆがむため)を被せて乾燥を防ぐこと」の最低3点さえきちんとすれば、よほど無茶な薄さや形状でないかぎり問題無く輸送できそうだということが分かった。
そして、本日、東京へ。経路を頭に叩き込んだ上で、さらに車のダッシュボードに地図を貼り付け、スムーズに高速料金が払えるよう小銭も用意。完璧である。ただ、私が乗っている中古の軽自動車は時速110km以上になると車体が震える。たぶんエンジンの能力限界に近いということだろう。これだけは予想外だった。やはりシミュレーションと実際の現場では、必ず差が生じるということだ。この微震動が長時間続くと、間違いなく作品が変形する。往路でこの微震動に気付いたので、復路は時間がかかっても最左レーンを100km以下で走ってきた。というわけで、体験教室は大きな問題もなく終了。もちろん、作品輸送も作った状態そのままで、仕事場まで運んでくることが出来た。
世の中、なんでも断らずにやってみると芸の肥やしになるものだと実感した。これで、もう、東京で陶芸体験をやりたいという注文が来ても、躊躇なくOKが出せる。半径100km以内であれば、どこへでも出向けるのではないかと思う。まかせてくれ。・・・とは言ってみたが、やはり東京で体験やりたい人は、東京の陶芸教室に頼んだほうがいいと思うんだけどもね、実際。餅は餅屋というか。でもまぁ、輸送ノウハウはかなり研究できたし、訪問陶芸体験としてレベルアップしたって感じかな。