それでも売れない

実は少し前からフリーマーケットボックス(略してフリマ箱)というのを借りている。フリマ箱は、デパートの一角にある多段式のボックス(カラーボックスみたいなもの)の1ボックスをレンタルし、借り主がそのボックスの中に自由に物を置いて販売するというシステムだ。販売時の金銭のやりとりのみ、お店の人がやってくれる。レンタル料(ボックスの場所により料金が異なる)および販売価格の15%をフリマ箱会社に支払い、残りの売り上げが手元に入るという仕組み。テレビや映画の電車男のワンシーンにも登場する。
で、私が借りたフリマ箱のお店の人の話では、ビーズなどのアクセサリーは1ヶ月で10万円くらい売り上げることもあるそうだ。まぁ、それは話半分だとしても、そのくらいの勢いで物が売れることもあるのは確かなのだろう。ってことは、自分の作品が売れるかどうかはさておき、そこそこ客の往来はありそうだ。何しろ器を作っても置いてくれる陶器店は無いし、陶器の修理の認知度もさっぱり上がらないし、かなり難儀している状態だったので、当面は宣伝のつもりでフリマ箱を借りることにした。
週に1度は顔を出し、おしゃれな雑誌の写真を参考に似たようなレイアウトに替えてみたり、名刺を置いてみたり、メッセージを手書きしてみたり。40cm立方の小さな箱とはいえ、今の私にとってはデパートに出した立派な店だから、かなり本腰を入れてやっている。そうこうしていると、店の人から「値段を下げて赤字で書くと目立ちますよ」とか「売れ線は○○円あたりですよ」とかアドバイスを頂けるようになったりもする。有り難い話だ。
・・・にしても、器が売れない。未だ1つたりとも売れていない。問い合わせすら無い。店のボックスを見る限り、必ず誰かが器を触った形跡はあるので、1人以上のお客さんが手に取って見たりはしているのだろう。だが、それを買うという一線は超えない。
自分のボックスを整理しながら、服やアクセサリーのボックスを横目で見ていると、かなりゴチャゴチャで整理されていなくても、お客はズルズルと服やアクセサリーを引き出して買っていったりしている。何故、ゴチャゴチャでも売れるのか、それとも、服やアクセサリーだからゴチャゴチャでも売れるのか、いやむしろゴチャゴチャな方がいいのか。私が服やアクセサリーに興味がないということもあるが、とにかく不思議なほど売れている。何故だ。ミステリー。
もっとも、私が作る器に魅力が無いというのが最大の要因なのかもしれない。いや、最大の要因で間違いはないとは思う。しかし、それでも1つくらいは売れても良さそうな気がするんだが、それはあまりにも安易なお気楽主義だろうか。物を作って売るという商売は本当に難しい。経験は技、継続は力。いずれにせよ、まだまだ修業が足りないってことだ。