ON&OFF

個人自営業を始めてみると、いろいろと面倒なことが増えてくる。
その中の一つが、仕事と非仕事との区別、つまり仕事のONとOFFだ。陶芸教室で仕事をしていた時は、基本的に教室の入り口を入ったらON、出たらOFFだった。もっとも、家に帰ってからパソコンで会員データベースのプログラムを作ったり、ホームページの書き換えなどをやっていたので、明確なON/OFFという感じでもなかったが、それでも「OFFだがやっている」という自覚があったので、自分のポジションとしてOFF側に居ることを意識できた。つまり、ONとOFFの出入り口が見えていた。
しかし、自営業というのは、かなり自分の中できちんと踏ん切りをつけてやらないと、驚くほどズルズルとONが続いてしまう。極端に言えば、目を開けている間はずっとONだ。定休日を決めてあるとはいえ、電話が鳴れば受話器を取るし、修理品を持って行きたいと言われたら店を開けておかねばならない(断ってもいいのだろうが、収入少ないし必死だ。笑)。しかも、それは「OFFだけどやっている」などと微塵も考えてはならない。なぜなら、そう考えると体が動かなくなってしまうからだ。仕事があれば常にON。仕事がなくても待機状態のON。たぶんそれが自営業の鉄則だと思う。
近所の老人クラブで2週間に1回で陶芸を教えてほしいと言われたので承諾したのだが、これがみごとに定休日と重なっている。つまり、定休日はあっても休みは無い。もっとも毎日仕事とはいっても、営業職のサラリーマンのように、毎日毎日、体を酷使しているわけではないので、肉体疲労は全くない。だが、体を動かさなくても、どんな器を作ろうかなぁとか、今度は講習会で何をやろうとか、もっと効率よく器を修理する方法はないかなぁとか、更に、もうちょっと収入上げるにはどうしたらいいかなぁなどなど、頭の中は休み知らずだ。
起業する前に読んだ本のなかに「自営業をはじめたら、自分と関わるすべてのものが金の対象になる。だから休みなんてものはない。それは肝に据えておく必要がある」ってなフレーズがあったけれど、いまになって、その意味が痛いほどに理解できた。たぶん、自営業というのはONとOFFを分別することは出来ない職業なのだろう。だが、ONとOFFの切り替えは、いずれ上手くなる必要はありそうな気がしている。仕事に呑まれたら、どう考えても身が持たない。身を持たせるには「仕事をする」という立ち位置を意識的に持ち続けることが鍵になるんじゃないかと思う。馬の上で寝るナポレオン。それが自営業者の基本姿勢なんだと思ったりする。