焼き継ぎ その4

大した進展は無いのだが、とりあえず焼き継ぎの途中経過報告をしようかと思う。
ホームセンターで購入した安い電気オーブンは、最高温度250度で白玉を溶かすことが出来ない。そこで、焼き鳥もできるというカセットコンロを買ってきて、分解改造し、650度前後(たぶん、それくらいの温度にはなっていると思う)まで温度の上がる窯らしきモノを作ってみた。耐久性に問題はあると思うが、当面の実験では支障は起きないだろう。
窯が出来たので、昼間、少しだけ婆さんの世話を親戚に頼んで、車で益子へ行って白玉などを買い付け。アロンセラミックという接着剤を見つけたので、ついでにそれも買ってみた。アロンセラミックは約150度(オーブンでも可)で加熱し金属や陶磁器などを接着する無機系接着剤。無機なので有機系とは違って人体無害。食器の接合にも使用出来る。また加熱後は耐熱耐水耐薬品性で、しかも耐熱温度が1300度。素敵。粘性や耐熱温度により幾つかの種類があるようだが、陶磁器用はアルミナを主原料としたものだということで、それを買ってみた。しかし、アロンセラミックは確かに接着力は強力で確実に陶器を接着出来るのだが、原料のアルミナ粒子が大きく、そのために接着面をピタリと接着する事ができず、接着誤差がかなり出てしまう。よって、陶器片をルーターで削って調節する必要があり、普段使いの器を修理するには、かなりの技術と根気が必要だ。しかも、接着しただけではアルミナ粒子の隙間から水が沁み出てしまうので、更にアロンセラミックでシーリングするという作業が必要になり、およそ、陶器の修理として気軽に使える代物ではない。汁物の器や花器の修理はまず無理だろう。言うまでもなく焼き継ぎには全く使えない。ただし、シーリングの効果は絶大なので、接着ではなくシーリングを主体とした、例えば土鍋の底にヒビが入ったので埋めて使いたいなどの場合には、有効のように思う。
さて、白玉なのだが、10個ほど器修理の実験をして、成功したのは1つだけ。あとの9つは、ズレたり、加熱中に崩壊したりと見るも無惨な状態。(器を耐火煉瓦で支えたけれど、それでも割れ方が良くないと焼成中に崩壊する。)思った通り破損箇所を白玉で接合するのは、ほとんど無理だということが実証できた。白玉は沈殿が激しく、また粒子も比較的大きい上に、接着力が全く無いので、布海苔、澱粉糊、漆、ニカワなどの粘着剤と混ぜたり、先に粘着剤で器を接合し隙間にガラス粉を注入してみたりと試してみたが、なにしろ粘着剤は、どれも400度前後で焼き飛んで無くなってしまうので、白玉が溶け始める600度までに器が崩壊する。成功した一つは、接着方法が良かったというよりも、割れ方が良かったので、たぶん形が保ったのだろう。だが、それでも接着誤差ゼロは無理で微妙なズレがある。現存するガラス継ぎのように、接着誤差をほぼゼロにするのは至難の技だ。
以上のことから、ガラス継ぎが仮にガラスを使用したとしても、おそらく、それは破損面を接着するために使ったのではなく、耐水効果としてシーリング的に使用したのではないかと思う。接合要因でもあるが、基本はシーリング。つまりガラスはあくまでも表層だけで、接着の材料は別なものを使っているということだ。ただし先にも書いた通り、有機系接着剤は400度以上では焼き飛んでしまう。少なくとも600度までは接着効果が持続する物質でなければならないのだが、それが何なのかは、未だ全く予想がつかず。
それと、ガラス継ぎに使用されている半透明な物質は、おそらく透明ではなく、白色に近い色を目標にしていたのではないかと思う。というのも、薄い白磁の修理品を光にかざして見ると、大きな欠損部分だけ光を透過しないのが分かる。ガラス剤で埋めたのであれば、あの程度の欠損なら簡単に光を透過するはずだが、そうではない。つまり光を透過しない物質でまず欠損部分を補い、その上に半透明物質を塗っているということだ。焼き継ぎは基本的に白磁修理で使われた技法なので、たぶん、ある程度の白色を狙っていると思う。
ちなみに、白い洋物の塗料が使われ始めたのは江戸時代末期からだそうだ。一瞬、塗料なのか?と思ったのだが、塗料であれば加熱する必要はないわけで、やはり加熱して耐水効果を生む何かの物質なのだろう。

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