陶芸どう?『陶磁器循環その2』補足

〜器には愛着を持つことがあるので、便器から出来た器には愛着が持てない、という意見に対しての返事。〜
私も確かに便器が食器になったら抵抗ある人は多いだろうと思いますし、実際に食器を売る立場だったら、便器の再利用なんて大声では言えないかな、なんて考えます。
しかし、ちょっと見方を変えてみると、果たして本当にそうなのかと考えたくなることが、たくさんあります。
世の中には「安全だから」という理由で堆肥を使った有機作物を購入し、水洗いをして食べる人が多くいます。熱処理をすると言っても調理の温度は200度以下です。そうして作った食材を口に入れます。一方、仮に便器が再利用されるとしたら、洗浄後、ミクロン単位に粉砕された後、1200度以上の温度で焼成されます。いわば完璧な滅菌処理で、これ以上の滅菌はありません。しかも食器は口に入れません。
無論、これは1200度という温度域の世界を知っているかどうか、あるいは体感しているかどうかで、実感の差があるでしょう。私は1200度という温度の世界を知っているので、便器の再利用食器を使えと言われても全く抵抗はありません。むしろ、使うことに誇りを持てるのではないかとさえ思います。知っているからこそ使えるという自信と言ってもよいでしょう。
本当に再利用、あるいは循環社会を考えるなら、一番大切なのは、この情報を知識として持つことで生まれる自信であり、かつ、それを新たな思想として確立させる社会構造そのものだと私は思います。
ちなみに、TOTOのホームページによると、便器の焼成温度は1180度(これは長石溶融での変形を回避するためだと思いますが)なので、不要陶磁器回収の1200度以上で焼成された物という基準に当てはまらず、回収は不可能ですから、今後も使用されることは、まず無いでしょう。もし回収し再生に使用するとしたら、別な生産ラインを作って食器以外の物になると思います。その方が確実で効率的ですし。また、余談ですがTOTOの検査不合格便器は粉砕されてセメントなどの原料になっているそうです。
それから蛸壷ですが、私もテレビで素焼きの蛸壺と樹脂性蛸壺の問題を見たことがあります。たしか番組中に素焼きの蛸壺は土に戻ると説明していたと思いますが、あれは正確に言うと間違いです。素焼きは塩分によって劣化しているだけで、腐敗作用によって土に戻るということはありません。分かりやすく言うと、目に見えるゴミとして残るのが樹脂性蛸壺、目に見えないゴミとして海中に沈むのが素焼きの蛸壺です。
無論、樹脂よりは素焼きの方が地球に優しいと思いますが生分解されない点では全く同じゴミです。
土を焼くというのは簡単であると同時に、実にやっかいなものですね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です